人は醜い生き物?マーク・トウェイン『不思議な少年』あらすじ


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『不思議な少年』マーク・トウェイン 岩波文庫

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マーク・トウェインは『トム・ソーヤーの冒険』で特に有名なアメリカ人作家です。楽観主義を代表する作家ですが、晩年には悲観主義になったようです。

マーク・トウェインの著作に関する記事は以下で紹介しています。

それでは早速、『不思議な少年』のあらすじや感想を紹介します。

以下、一部本のネタバレになる内容が含まれています。ご了承ください。

『不思議な少年』あらすじ/要約

『不思議な少年』とは?

マーク・トウェインの『不思議な少年』は「サタンと子どもの交流を描いた物語」です。

16世紀のオーストリアの田舎に三人の子どもがいました。

三人の前に、美少年サタンが現れます。サタンは美少年の姿をしていながら1万6000年も生きていると言います。

サタンは、子どもたちが望むものをなんでも与えます。サタンには子どもたちの欲や考えていることが言葉を出さなくても理解できるのでした。

子どもたちは、欲しいものをなんでも与えてくれるサタンに好感を持ちます。サタンは人間には興味がないものの、子どもたちとの交流は続けます。

サタンと子どもたちの間には、道徳心や倫理というものが違っていました。人間にとって悪な行為でも、サタンにとっては善な行為というような事例が浮上してきます。

次第にサタンは、人間の不合理さや愚かさを嘲笑します。そして子どもたちにこう語ります。「人間ほど愚かな生き物はない」と。サタンにとっては人間は獣よりも愚かな存在に見えるのでした。

人間の愚かさを語り尽くしたサタンは、その後子どもの前から姿を消します。

サタンから見える人間の愚かさ

サタンは1万6000年間も生きているということもあり、人の形をしていますが、人ではありません。

そんなサタンと人である子どものやり取りを通して読者は人間の愚かさを痛感させられます。

『不思議な少年』の中で、サタンはこのようなことを述べています。

第一、獣はけっして残忍なことなどしやしない。残忍なことをやるのは、良心なんてものを持っている人間だけなんだ。そりゃ獣を他を傷つけることはあるよ。だが、それは無心でやってるんであって、したがって、けっしてそれは悪じゃない。第一、獣にとっちゃ、はじめから悪なんてものはないんだからね。獣には、他を傷つけてよろこぶなんてことはけっしてない。それをやるのは人間だけなんだ。(p66)

サタンが、人間を獣以下の存在と考える理由。それは人間の良心にあります。良心によって、人は善悪を持っています。良心さえなければ、善悪の判断はなくなり、悪はなくなるとサタンは言います。

人間以外の動物は生きていくために他の動物を殺したりします。それは生きていく上で必要な行為です。一方人間は、生きるためという理由以外に他の動物を傷つけています。

人間は良心をもとに善悪の判断をします。しかし善悪の判断は確固としていません。ある時にはその行為は善で、ある時には悪です。

人間は、悪を自分たちで作り上げておきながら、正義の名の下に悪を成した人を傷つけてしまいます。

サタンが語る人間の武器とは?

サタンは人間には興味がなく、愚かな生き物としてしか映っていません。

そんなサタンですが、子どもたちを前に、人間が持つ武器があると語ります。

というのはだよ、君たち人間ってのは、どうせ憐れなものじゃあるが、ただ一つだけ、こいつは実に強力な武器を持っているわけだよね。つまり、笑いなんだ。権力、金銭、説得、哀願、迫害ーそういったものにも、巨大な嘘に対して起ち上り、いくらかづつ少しでも制圧してーそうさ、何隻も何世紀もかかって、少しづつ弱めていく力はたしかにある。だが、たったひと吹きで、それを粉微塵にして吹きとばしてしまうことのできるのは、この笑いってやつだけだな。(p173)

人間には生きている上で必ず、辛い出来事や悲しい出来事に遭遇します。

その時、笑うことができるか。笑いさえ持っていれば、困難な出来事も吹き飛ばすことができるのだとサタンは語りかけます。

『不思議な少年』感想/まとめ

マーク・トウェインと言えば、冒険小説というイメージでした。

しかし実際に『不思議な少年』を読んでみると、衝撃的な面白さでした。

今まで読んできたマーク・トウェインの作風と打って変わり、悲観的な内容になっています。しかし、冒険小説以上に魅力を感じました。

サタンが登場するという点や、人間の欲によって自分たちが破滅を迎えるという点は、ミルトンの『失楽園』という本とも共通しています。

『不思議な少年』が気に入った方は、きっと『失楽園』にも惹かれるはずです。

今まで読んだマーク・トウェインの作品の中でも、最も好きな作品でした。冒険小説も書ける一方で、このような悲観的な作風の本も書けるというのは流石と言ったところでしょうか。

分量は200ページほどで、内容も難しくはないので、読みやすいかと思います。

総評

・オススメ度★★★★★

・読みやすさ★★★★★

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

『不思議な少年』マーク・トウェイン 岩波文庫

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