こんにちはshun(@bookstyle_book)です!
今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『死刑囚最後の日』ユーゴー 岩波文庫
著者であるユーゴーは、本書『死刑囚最後の日』を通して、死刑制度の廃止を読者に問いかけています。
それでは早速『死刑囚最後の日』のあらすじと感想を紹介していきます。
『死刑囚最後の日』あらすじ/要約
『死刑囚最後の日』は「死刑囚が死刑を執行されるまでの心理を描き出した本」です。
主人公である死刑囚はどのような犯罪で死刑囚になったのかわかりません。
しかし、死刑を執行されることは確定しています。
6週間後には、彼はこの世から存在を消しています。
死刑の執行が近づくことを意識しながら生活する日々。
一体死刑囚は死刑の執行前に何を考えているのか。
本書『死刑囚最後の日』から死刑囚の心理状態を知ることができます。
苦悩
『死刑囚最後の日』の中で、死刑囚はこのようなことを述べています。
彼らは言う、それはなんでもない、苦しくはない、やすらかな終りだ、その種のしはごく平易なものになっていると。
では、この六週間の苦悶とこの一日じゅうの残喘とは、いったい何なのか。こんなに徐々にまたこんなに早く立ってゆくこの取り返しのつかぬ一日の苦悩は、いったい何なのか。死刑台で終わってるこの責苦の段階はいったい何なのか。(p106)
死刑が執行されることが苦痛なのか。それとも死刑を執行されるまでの期間が苦痛なのか。
死刑執行が苦痛であるかどうかは誰であっても知ることはできません。
死刑が執行されてしまってからでは、その人は語る言葉を持たないからです。
どちらの方がより苦痛なのかは、永久にわからないのでしょう。
罪が消えない社会
一度罪を犯してしまったものは、釈放された後にまた罪を犯してしまう。
著者であるユーゴーは、再販をしてしまう原因が社会にあると考えています。
一度犯罪を犯してしまった場合、その歴が履歴書などに残ってしまいます。
犯罪を犯してしまえば、その罪は一生ついて回ってしまうのです。
当然犯罪歴がある人と積極的に関わりたい人はそういないので、社会から隔離されていきます。
その結果、再び犯罪を犯してしまうのです。
ユーゴーは生きている限り、更生できると考えていました。
更生が許されない社会に対して抱くユーゴーの怒り。
それが本書『死刑囚最後の日』には書かれています。
『死刑囚最後の日』感想/まとめ
ユーゴーは死刑制度の反対を『死刑囚最後の日』を通して訴えたかったそうです。
しかし、本作品に登場する死刑囚がどのような犯罪を犯して死刑を宣告されたのか。
『死刑囚最後の日』の本文中からは最後まで読み取ることができません。
確かに死刑囚本人からすれば、死刑制度は苦痛そのものでしかないでしょう。
しかし、『死刑囚最後の日』では被害者の視点が欠けてしまっています。
殺されてしまった被害者の遺族の悲しみをよそに、加害者は税金で生きている。
何の罪も無い遺族がその状況に耐えることを想像すると、その社会の方が不自然なものに思えます。
ユーゴーの意図と少し異なるかもしれませんが、死刑囚の死刑執行前の心理を知るための本という読み方がいい気がします。
この本だけで死刑制度の是非を考えることは難しいように思えます。
気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
それではまた〜。
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『死刑囚最後の日』ユーゴー 岩波文庫
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