魂を手にした水の精霊の悲劇とは?フーケー『水妖記』あらすじ


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『水妖記』フーケー 岩波文庫

⇒Amazonで見る

『水妖記』あらすじ/要約

本書『水妖記』は「水の精霊ウンディーネと騎士の恋愛物語」です。

騎士フルトブラントは森の中で一軒の家を発見します。

そこには老夫婦が住んでいました。森の中で迷った騎士は老夫婦の家に滞在します。

老夫婦の娘は亡くなっており、天真爛漫な養女、ウンディーネと暮らしていました。

ウンディーネの正体は水の妖精だったのです。

水の精霊であるウンディーネは魂を持たない生き物でした。

しかし、水の精霊は人間の男の妻になることで魂を持つようになります。

フルトブラントの妻になったウンディーネは魂を持ちます。

人間と水の精霊が結婚する際、犯してはいけない一つの禁忌をウンディーネはフルトブラントに教えます。

魂のない少女

魂を持つ前のウンディーネは、天真爛漫でお転婆な少女でした。

いたずらばかりをしていて、夫婦を困らせることも多々ありました。

しかしそんなウンディーネも、フルトブラントと結婚することで魂を持つようになります。

魂を持つというのは、人間が持つ様々な感情に目覚めるようになったという意味に近いかと思います。

魂を得たウンディーネは、人への愛情といったポジティブな感情を手に入れることができました。

一方で、魂を持つまでには感じたことのなかった苦悩や悲しみの感情も知るようになります。

ウンディーネは『水妖記』の中で、魂についてこのように述べています。

「魂って重い荷物に違いないわ。とても重いものに違いないわ。だって、そのかたちが近づいて来るだけでも、もう私には居ても立ってもいられないような心配や悲しみが影のように覆いかぶさって来るんですもの。いつもあんなに軽い、楽しい気持でいられたのに。」(p60)

魂を持つにいたったウンディーネの性格の変化も本書『水妖記』の中の見所です。

一途な水の精霊

水の精霊、ウンディーネ。

人と関わりを持ちながらも、彼女は人ならざる存在です。

生まれた時から魂を持つ人間ですが、欠点の多い生き物です。

人はすぐに心変わりをし、今まで身近な存在であった人を疎ましいと感じます。

昨日まで親しかった人を翌日には嫌いになっていることもしばしば。

水の精霊であったウンディーネは、人の移ろいやすい心に翻弄されていきます。

人間ではないウンディーネにとって、人間の行動は不可思議に見えたに違いありません。

善良な心を持ったウンディーネは、それでも一途に人と向き合おうとします。

『水妖記』感想/まとめ

三島由紀夫の『仮面の告白』でも取り上げられていた本書。

非常に面白い作品でした。三島由紀夫が取り上げるのも頷く場面の美しさ。

しかし、美しい作品の中に嫉妬や所有欲といった人間臭さの要素も多分に含まれています。

魂を持ったが故に不幸に陥ってしまったウンディーネ。

もしそうであるならば、元々魂を持つ私たち人間はさらに不幸な存在なのでしょうか。

「最も悲惨な目にあったのは果たして誰だったのか」

古典でありながら、内容がわかりやすく馴染みの無い方でも楽しめるかと思います。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

『水妖記』フーケー 岩波文庫

⇒Amazonで見る

『仮面の告白』三島由紀夫 新潮文庫

⇒Amazonで見る

<関連記事>

「人生は無常?リルケ『ドゥイノの悲歌 』のあらすじを簡単に紹介!」

「ゲーテの不朽の名作!『若きウェルテルの悩み』のあらすじと感想」

「ゲーテ生涯の大転機!ゲーテ『イタリア紀行』あらすじを簡単に紹介」

「20世紀文学の最高傑作?!『魔の山』トーマス・マンのあらすじ」

「繊細な少年の破滅の物語!ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』あらすじ」