作者島崎藤村が込めた思いとは?島崎藤村の『破戒』をレビュー!


こんにちはshunです!

 

今回紹介する本はこちらの本を読了したので、紹介したいと思います。

島崎藤村『破戒』 青空文庫 2006年

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それでは早速、島崎藤村の『破戒』についてあらすじや感想を紹介していきます。

主人公、瀬川丑松が抱えるジレンマ

主人公である瀬川丑松は小学校の教師として、生徒から人気の講師でした。

しかし、丑松はとある秘密を抱えながら生きていました。丑松の生まれは「穢多(えた)」だったのです。

穢多とは、家畜や人間の死体を処理する者たちへの蔑称です。

江戸時代には、現代の様に肉を食べるといった習慣はなかったそうです。死体には「穢れ」があるという様な迷信が日本にはあり、死体を処理する者たちは忌み嫌われていたと言われています。

また、よく「穢多」と「非人」は同一視されがちであるが、両者は別の意味を持っています。

エタと非人には違いがある。エタは皮革業を専門としていた、世襲的で確固とした立場の人である。漢字では穢多と書くようだ。つまり「穢れ多き」と書いて「えた」と発音する。エタは具体的には動物の皮をなめして皮製品を作っていた。生来の「下賤の者」である。それに対して、非人は罪人や感染病人などで構成され、死体を最初に解体する流浪の民である。

出典:nicovideo

丑松は幼い頃から穢多であることを周囲にバレてはいけないことを叩き込まれました。もし自分が穢多であることがバレてしまったら、その後社会で生きていくことはできないと教えられていたのです。

これが丑松にとっての「戒」でした。丑松は自分が穢多であることを隠しながら生きていました。穢多であることが噂される様になっても、自分から穢多であることは公表しませんでした。

丑松は自分が穢多であることに悩み、この悩みを解決するために周囲に公表したいと思っても「戒」を守るために我慢しました。

尊敬する師の死

丑松には尊敬する師がいました。それが猪子連太郎という人物です。連太郎はなんと自分が穢多であることを公表しつつ、多くの著書を執筆していました。

丑松は自分が穢多であるということもあり、穢多であることを隠すことなく、堂々と生きている連太郎の人生を心から慕っていました。

連太郎と丑松は本書の中で何回か会いますが、その時も丑松は自分が穢多であることを連太郎に対して打ち明けることができません。

穢多ということを公表している連太郎に対して、嫌悪感を持っていた人は多く存在していました。

連太郎は高柳理三郎という人物に殺されてしまいます。

丑松が「破戒」をした理由

連太郎の死を聞いた後に、丑松は自分が務めている小学校において生徒たちの前で土下座しながら穢多であることを告白してしまいます。ついにずっとひたむきに隠し続けてきた「戒」を破ってしまうのです。

ここで、私が気になったのはどうして丑松は穢多であることを告白し、さらに土下座までしたのかについてです。

穢多であることを公表した後に、丑松はアメリカのテキサスへと逃げるように向かいます。

丑松は連太郎のことを尊敬していました。穢多であることを気にもとめず、自由に生きているその姿は丑松にとって希望となる存在であったのではないのかと思います。

しかし、連太郎は結局殺されてしまいます。穢多以外の階級にとって連太郎は「異分子」でしかなかったのかもしれません。

連太郎でさえ、身分という重い足枷からは逃れることはできなかったのです。

連太郎の死によって丑松は穢多としての唯一の希望すら失ってしまいました。

「結局社会は1人では変えることなんてできない」そんなことを丑松は考えたのかもしれません。

「1人の穢多がどんなに必死で声をあげても、その声に耳を傾けるものはいない。穢多は穢多らしく生きるしかない。」丑松はそのような社会に絶望したのではないのでしょうか。

作者島崎藤村の思いとは

作者である島崎藤村は1906年(明治39年)にこの本を出版しています。

当時はまだ明治期であるため、穢多という名称が新平民に変わっていますが、依然として差別があった時代です。

そんな中でこの本を出版することは作者である島崎藤村にとってもかなりリスクが高かったはずです。

それでもなお出版したことは、作者が身分に対する差別に対して、強い怒りを覚えていたからではないでしょうか。

穢多はただその生まれによって他の階級から差別されました。

人間としての能力が他人に劣っているわけではなく、彼らだけが差別される合理的な理由はありません。

現在でも残念なことに、差別の方法は違えど、様々な差別が依然として存在しています。そんな今だからこそ、『破戒』という著書は読んで欲しいと私は思います。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

余談ですが、人種差別を扱っているディストピア小説としてオルダスハクスリーの『素晴らしい新世界』も面白い小説ですので、気になった方はぜひ本屋などで探してみてください。

〜コラム〜

みなさん、青空文庫を知っていますか?青空文庫とは何かをまずは説明したいと思います。

青空文庫は、誰にでもアクセスできる自由な電子本を、図書館のようにインターネット上に集めようとする活動です。
著作権の消滅した作品と、「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、テキストとXHTML(一部はHTML)形式に電子化した上で揃えています。

出典:青空文庫

青空文庫には2013年の時点で1万冊以上の文庫があるそうです。そして青空文庫の最大のメリットが「無料で読める」点にあります。

今回の島崎藤村の『破戒』も青空文庫なので、無料で読むことができます。私は青空文庫をkindleで読んでいます。何冊でもダウンロードして読むことができるので、オススメですよ。

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それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

オルダスハクスリー『すばらしい新世界』光文社古典新訳文庫

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島崎藤村『破戒』 青空文庫

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kindleを持っていない方はこちら>

島崎藤村『破戒』 新潮文庫

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