男女交際の価値観が現代と違う?田山花袋の『蒲団』の感想を紹介!


こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介したいと思います。

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『蒲団』あらすじ/要約

34歳の作家、竹中時雄は妻と子供と3人生活していました。3人での家庭生活は単調で、時雄はその生活に嫌気がさしていました。

そんなある日、作家時雄のファンであった横山芳子からファンレターが時雄の元に届き、弟子になりたいと志願してきます。時雄は芳子を自分の家に招き入れ、同居生活を初めてしまいます。

芳子が弟子になってから、時雄は芳子に対して次第に心惹かれるようになっていきます。しかし、芳子は田中秀夫という学生に心惹かれていってしまうというのが大まかなあらすじです。

この『蒲団』は、著者の田山花袋自身をモデルとして執筆されたそうです。

現代とは違った男女関係

主人公である竹内時雄は妻子を持ちながらも、弟子である横山芳子に対して、恋愛感情を抱いています。いわゆる三角関係です。しかし、その後、芳子には田中秀夫という恋人ができてしまいます。

『蒲団』の中で、時雄は何度も芳子と秀夫に肉体関係がなかったか関心を寄せるような描写がいくつかあります。2人が夜にあっているだけで気を揉んでいるような描写もあります。

時雄は霊と肉の恋愛が違うことを絶えず芳子に対して説いています。霊と肉とは今でいう心と身体のようなものです。

これを理解するには、田山花袋が生きた明治時代の理解が必要になります。

明治時代になってから、日本の男性はその女性が「処女」であるか否かに重点を置くようになりました。

「貞女二夫に見(まみ)えず」というような言葉もあるように、女性は結婚するまでは、処女でいることが求められました。江戸時代にはこのような風習はなかったと言われています。

開国を経た後の明治時代では、様々な西洋文化があらゆる箇所に浸透していきました。

女性の価値観を変えたのは「宗教」です。

キリスト教徒の人々からすれば、イエスキリストの母親であるマリアは処女であると考えられていました。キリスト教にとって、処女であることは無実性を示すものだったのです。

そのような文化が流入したことにより、処女を重要視するような文化が日本においても芽生えたのです。

主人公竹内時雄の心理描写

やはり、『蒲団』の中でもメインテーマは作者田山花袋が自分に重ねた竹内時雄の心理描写にあると私は考えます。

竹内時雄の心理描写を一言に集約するなら、それは「ジレンマ」なのではないでしょうか。

『蒲団』の作中でも、様々な箇所で時雄の心の葛藤が描かれています。

例えば、芳子に対する激しい恋愛感情と妻子がいる自分自身への冷静な文学者としての分析などが挙げられます。

主人公、竹内時雄には自分自身の葛藤と向き合い、覚悟を決めることができませんでした。その結果、自分自身が満足いかない結果に終わることになってしまったのではないかと思います。

『蒲団』内には、時雄の人生を端的に表現している文があります。

一歩の相違で運命の唯中に入ることが出来ずに、いつも圏外に立たせられた寂しい苦悶、その苦しい味をかれは常に味わった。

この一歩の相違を生み出したのは、時雄の覚悟によるものなのではないかと思います。

『蒲団』感想/まとめ

この『蒲団』では、人間の負の部分、すなわち他人には隠しておきたい部分が私小説で書くことにより、明確に描かれています。

覚悟を決めることができない人間としての弱さ、性欲をむき出しにする人間の醜い部分がリアリティを持って描かれています。

ただ、少し疑問点もありました。それは芳子の恋人である田中秀夫に対する記述に関してです。

本文中の中には、田中秀夫を好意的な人物として描かれている箇所はありません。

時雄も芳子の父親も、秀夫に対する嫌悪感をむき出しにしています。そんな秀夫のどこに芳子が惹かれ、人生を共に歩む決意まで固めたのかがよくわかりませんでした。作者である田山花袋が意図的に否定的な人物として描いたのかもしれません。

これで『蒲団』の感想は以上です!

それではまた〜。

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