映画化も実現した!西村賢太『苦役列車』のあらすじ/感想を紹介

『苦役列車』

こんにちはshunです!

最近、記事の更新ができていなくてすいません。新学期でバタバタしていて、記事を書く時間があまり取れませんでした。

本は時間を作って読んでいるので、随時記事にすることができると思います。それまで長い目で見てくだされば幸いです。

それでは今回読了した本について紹介していきます。今回は久しぶりに純文学の本を読了しました。

今回読んだ本はこちらです!

『苦役列車』

『苦役列車』

『苦役列車』西村賢太  新潮文庫

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西村賢太の『苦役列車』は第144回に芥川賞を受賞しています。映画化もされているそうで、AKBの前田敦子さんや俳優の高良健吾さんなどが出演されているそうです。

あらすじや感想に入る前に、1つ注意点があります。それは、この西村賢太の『苦役列車』という本にはかなり下品な描写が描かれています。そのため、それに嫌悪感を示す人も少なくないと思います。

下品な描写がされている本は好きではないという人はこの先読まないほうがいいかもしれません。その辺は自己責任でお願いします。

それではあらすじと要約の方に入っていきます。

『苦役列車』あらすじ/要約

北町貫多が幼少の頃に、父親が性犯罪を犯してしまいます。それを契機にして、家庭は崩壊し、貫多も自分の将来に対して絶望します。

貫多は中学を卒業すると、高校には行かず、19歳のフリーターとして狭い部屋を借りて1人で暮らしていました。生計を立てるために、日雇いの仕事をしていて、その場しのぎの生活を送っています。

日雇いでせっかく稼いだ金もすぐ酒や女に使ってしまい、貯金をするということは一切していません。

そんなある日、日雇いの仕事現場に専門学校生の日下部正二という青年が現れます。人との接点をほとんど持っていなかった貫多は次第に仲を深めていきますが、、

とこんな感じのあらすじになっています。これ以降は実際に本を手にとって読んでいただければと思います。

性犯罪者の息子というレッテル

「もし、自分の父親が性犯罪者だったら」こんなことは正直考えたくもありません。皆さんもそうではないかと思います。

性犯罪に限らず、親が罪を犯したその瞬間に、その子どもである自分の人生も道を断たれてしまったような、そんな気持ちになることは想像できます。

本書『苦役列車』に登場する主人公の北町貫多はまさにそのような状況に立たされてしまったのです。

高校、大学に死ぬ気で勉強して入ったとしても、「父親が性犯罪者」というレッテルは一生ついて回ってきます。いわば、父親が性犯罪者という事実が、貫多のアイデンティティの一部を形成してしまっているのです。

もしかすると、周りの人の中には父親が性犯罪を犯したことを気にも止めていないかもしれません。しかし、当の貫多からしてみれば、やはりそれはずっと自分自身の意識の中に強く残ってしまっているのです。

日雇い労働

貫多が自堕落な生活を送ってしまった原因の1つが、「日雇い労働」という労働形態ではないかと考えます。

ここでいう日雇い労働とは、働いたその日に給料が手渡しされるという労働形態のことを指します。

この日雇い労働という制度によって、その日働くか働かないかは個人の自由に一任されてしまいます。その結果、どうしても金がなくて明日生きていけないというギリギリのラインまで働かなくていいという状態を作り出してしまうのです。

もし会社員のように平日は働くという状況だったら、自堕落な生活をすることはなく、貯金もする事ができたのかもしれません。

『苦役列車』感想/まとめ

西村賢太の『苦役列車』の主人公の貫多を「ダメな人間」として一蹴してしまうことはある意味で簡単です。しかし、私は貫多に対して同情の念を覚えました。

「中卒でプライドが高い」「友人関係をほとんど持った事がない」など、貫多の性格には「父親が性犯罪者」である事が強く影響しているように私には思えるのです。

父親が性犯罪者というレッテルを貼られた状況で、一種の「処世術」として、プライドを高く保ったり、友人関係をほとんど持たなかったのではないでしょうか。そしてその内には、父親から逃れることのできない脆弱な自己が隠されているのではないでしょうか。そんなことを考えさせられました。

確かに、表現はかなり下品なものが多いですが、考えされられた事も多く、読んでよかったと思いました。興味を持った人はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

『苦役列車』

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