人生楽しんだ者勝ち?村上龍の『69 sixty nine』の感想

69 sixty nine

こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介したいと思います。

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『69 sixty nine』村上龍 文春文庫

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村上龍の小説をブログで取り上げる事は初めてですね。

それでは、早速村上龍の『69 sixty nine』のあらすじや感想について紹介したいと思います。

『69 sixty nine』あらすじ/要約

1969年という学生運動が盛んな年、主人公の矢崎剣介(ケン)は高校3年生で、進学校として有名な高校に通っていました。同級生は国立の医学部の受験を考えているような進学校中の進学校です。

ケンは映画を作りたいと考え、学校内でも皆から一目置かれている松井和子を主演の女優にしようとします。

そしてその松井和子の気を惹きたいケンは学生運動が盛んな風潮を利用し、同級生と協力してバリケード封鎖を行います。バリケード封鎖は見事成功に終わります。

しかし、バリケード封鎖をしたことはすぐにバレていまい、学校から無期限の停学処分を通告されてしまいます。

無期限の停学処分が終わったのち、ケンはフェスティバルの開催を目論みます。

この『69 sixty nine』は村上龍自身の経験談を語った自伝小説です。作者自身の青春時代の苦い思い出や楽しい出来事がふんだんに詰まっている1冊です。

性への執着

『69 sixty nine』のテーマとしては教師への反発もありますが、それよりも大きいテーマとして「性への執着」があるように思えます。

主人公のケンはそれほど貧乏ではなく、昼食代を母親からもらっています。しかしそれにも関わらず、わずかな食べ物で我慢するという生活を続けていました。

そして余ったお金は何に使うのかというと女子高生を喫茶店やディスコでふっかけるために使ってしまうのです。食欲よりも性欲の方が勝っているという事なのでしょうか。

また、本書『69 sixty nine』のヒロインである松井和子に対しても異常な執着を持つようになります。

全く政治的な思想を持っていなかったケンは松井和子の気を惹きたいがためだけにバリケード封鎖を立案し、実行してしまいます。1女子高生の気を惹くためにバリケード封鎖するなんて通常では考えられません。最近流行っているフラッシュモブよりもずっと強烈ですよね。

高校生という年頃であったからなのかもしれませんが、ケンの性への執着の強さが本書『69 sixty nine』の中では感じられます。

楽しく生きるためにはエネルギーがいる

村上龍は『69 sixty nine』のあとがきの中でこんなことを述べています。

楽しく生きるためにはエネルギーがいる。

戦いである。

私はその戦いを今も続けている。

退屈な連中に自分の笑い声を聞かせてやるための戦いは死ぬまで終わることがないだろう。(p243)

ケンにとって、そして村上龍にとって、教師は「退屈」の象徴でした。

教師にとって重要なのは進学実績です。特に地域でも有名な進学校の教師ともあれば、学校の受験実績を伸ばしたいことは明白です。

村上龍にとって、教師は生徒を大学、就職、そして結婚など多くの人が進む道に生徒たちを強制的に向かわせる職業だったのです。村上龍の言葉を借りるのであれば、「家畜への第一歩」を手助けする存在だったのです。

そんな教師達に一矢報いるためには、自分自身が人生を楽しんでいることを見せつけることが重要だと村上龍は考えています。村上龍は自分自身が人生を楽しみきることで、社会のレールという一見すると、安定して見えるレールに対して疑問を投げかけているのです。

『69 sixty nine』感想/まとめ

全共闘をテーマとして扱っているものの、政治的な意図がそこに見え隠れしないため、読む側としても楽しみながら読むことができます。

ただ、楽しむことを考えている高校3年生で受験を控えているケン。そんなケンは周りから見れば奇妙に映ったのかもしれません。

しかし、心の底から人生を楽しもうとするケンに少し羨ましいという感情を私は抱きました。ケンのいう通りで、人生は楽しんだもの勝ちなのではないでしょうか。

最終的には、「自分の人生をどこまで自分で満足させられるか」が重要なのです。他人からどう思われようとも、自分が楽しいと思ったことをして、自分が満足すればいい。

ただ、他人の迷惑を省みないところにケンの高校生としての未熟さが出ているように思えます。単なるエゴイストではなく、周りにかかる迷惑なども考慮しながら、自分が満足いく人生の楽しみ方をすることが重要なのではないかと本書『69 sixty nine』を読んで感じました。

1969年の学生運動が激しさを増していた時代に私は存在していなかったので、その世界を理解できたらもっとこの『69 sixty nine』は楽しめたのではないかと思います。当時高校生だった人にとってはこの本は私と全く違った印象を抱くかもしれません。

もっと、早くこの本に出会ってみたかったですね。出来れば高校生ぐらいの時に。

村上龍の超有名作品、気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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