夢と現実の違いは?澁澤龍彦『高丘親王航海記』(文春文庫)あらすじ

高丘親王航海記

こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

高丘親王航海記

『高丘親王航海記』澁澤龍彦 文春文庫

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『高丘親王航海記』は澁澤龍彦の遺作で、読売文学賞を受賞しています。人形劇化も実現している作品です。

そんな、『高丘親王航海記』のあらすじや感想について紹介したいと思います。

『高丘親王航海記』あらすじ/要約

高丘親王は実在したと言われている人物です。

高丘親王は、平城天皇の第三皇子として生まれ、皇太子になります。しかし薬子の変が起こったことで高丘親王は皇太子を廃止させられ、出家をすることになります。

仏門に入った後、64歳で入唐し、その3年後弟子たちを連れて天竺を目指すようになっていきます。

『高丘親王航海記』は高丘親王が弟子たちとともに天竺を目指す旅の軌跡を描いた物語です。

『高丘親王航海記』の見出しは以下の通りになっています。

<見出し>

儒艮/蘭房/獏園/蜜人/鏡湖/真珠/頻伽

物語としては1つ1つで完結しています。

夢喰いの獏

旅の途中で、親王は盤盤(タイの南部)で太守に捕まってしまいます。

太守の娘は病にかかっていて、その病を治療するには良質な獏の肉が必要なのだと太守は言います。しかし、良質な獏の肉を得るには獏に餌である良質な夢を食べさせなければいけないのです。

そこで、常日頃から良質な夢を見る高丘親王は自分の夢を獏に食べさせることに同意します。

しかし、良質な夢を獏に食べられてしまっている高丘親王は、次第に生気を失ってしまい、悪夢にうなされるようになってしまうのです。

夢を食べる獏。なんとも幻想的とうかファンタジーならではの発想ですね。

夢を食べられてしまったら、生気を失っていくのも面白いです。良質な夢を見ることは人生にとって1つの生きがいなのでしょう。

夢であれば、現実で不可能なことも実現できます。良質な夢を見ることは自分たちの生を豊かにすることになるのです。逆に言えば、その夢を食べられてしまうということは生きがいを失ってしまうということとも同義なのです。

死の伏線

60代で入唐をし、天竺へと旅をすることを決意した高丘親王。いくら高丘親王だからとは言え、歳月の経過を免れることはできません。

物語の途中から、高丘親王の死を伺わせるような表現がいくつも登場します。

しかし、高岳親王自身は死に対して、それほど悲観的にはなっていません。高丘親王はこんなことも述べています。

「(中略)そもそも人間が天地から生を享け、死んでふたたび天地へ帰るものとすれば、なまじ冷たい墓なんぞへ埋められるよりも、おのれの肉をもって飢えたる虎をやしない、そのまま虎の一部となって天竺へ一路ひたばしるほうが、よほど自然の理にかなっているとは思わないかね。(中略)(p232)

冷たい墓に入るよりかは虎に食べられた方がいい。高丘親王には一種の死への達観が見受けられます。

『高丘親王航海記』感想/まとめ

物語はかなり幻想的。そのため、好みがはっきり分かれる印象を持ちました。「航海記」というタイトルがつけられていますが、物語の多くは親王の夢の世界で構成されており、そこには幻想的な世界が広がっています。

人語を解するジュゴンが出てきたり、夢を食べる獏が出てきたりと他にも現実では考えられないような生物が『高丘親王航海記』では多く登場します。

個人的にはまだその世界観に完全に入り込むことができなかったです。

普段ファンタジー小説を読むことがあまりないので、免疫があまりなかったのかもしれません。

秋丸と春丸を入れ替えた理由は何かなどいくつか疑問点も湧きました。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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