犯人の真相は?伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』あらすじ/感想

ゴールデンスランバー

こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

ゴールデンスランバー

『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎 新潮文庫

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映画化も行われている伊坂幸太郎の人気作品、『ゴールデンスランバー』。

伊坂幸太郎の作品である、『重力ピエロ』も別記事で紹介しています。気になる方はぜひ読んでみてください。

それでは早速、伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』のあらすじや感想を紹介します。

以下、一部本のネタバレになる内容が含まれています。ご了承ください。

『ゴールデンスランバー』あらすじ/要約

『ゴールデンスランバー』とは?

伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』は、「首相暗殺の犯人に仕立てられた男の逃亡劇を描いた本」です。

凱旋パレードに参加していた金田首相。凱旋中、金田首相は何者かによって殺害されます。

主人公青柳雅春は、ニュースで自分が首相暗殺の犯人として取り上げられていることに気がつきます。青柳は以前、アイドルを襲う男を撃退し、地元では有名人でした。

警察の調査によって、青柳に不利な証拠がいくつも現れます。報道陣はこぞって青柳を犯人だと報道し、世間の人々は青柳が犯人だと思い込みます。

一方で、青柳が首相殺しの犯人ではないと考える人々が少数いました。連続殺人事件の犯人キルオや大学時代の青柳の彼女晴子。青柳と関わり合いのある人は、青柳が首相殺しをするような人間ではないと考えます。

青柳は犯人ではなく、顔を青柳に似せて整形した青柳の影武者によって首相の殺害は行われたのでした。

青柳は顔を整形することで、逃げ延びることに成功します。

その後、青柳は両親と自分にしかわからない言葉を手紙に添えて、自分が生きている事を両親に伝えます。

監視社会の恐ろしさ

本書『ゴールデンスランバー』で描かれる社会は、ジョージ・オーウェルの『1984年』を彷彿とさせる監視社会です。

セキュリティポッド」と呼ばれるカメラが至る所に設置してあり、国民の生活は24時間監視されています。

セキュリティポッドは、建前上では国民の犯罪防止のために設置することになったそうです。

しかし、国民を24時間監視する権利は果たして国にあるのでしょうか。しかも、そのセキュリティポッドの負担をしているのは税金を払う国民なのでしょう。

もしこれが現実で全く起こり得ないのであれば、「こんな社会は嫌だな〜」と笑いながら読むことができるのかもしれません。しかし、監視社会が全く起こり得る可能性もあります。

近年の「マイナンバー制度」などはすでに実施されていることから、セキュリティポッドのようなシステムがいつ日本にも導入されても不思議ではありません。

マスコミへの痛烈な批判

首相殺しの犯人に仕立てられてしまった青柳雅春。

当然、メディアは挙って首相殺しの犯人と思われている青柳雅春について、調査を開始します。調査の手は青柳の父親の元にまで届きます。青柳宅の前に群がる報道陣。

青柳の父は報道陣たちに対して青柳が犯人ではないと明瞭に述べ、次のような言葉を投げかけます。

「名乗らない、正義の味方のおまえたち、本当に雅春が犯人だと信じているのなら、賭けてみろ。金じゃねえぞ、何か自分の人生にとって大事なものを賭けろ。おまえたちは今、それだけのことをやっているんだ。俺たちの人生を、勢いだけで潰す気だ。いいか、これがおまえたちの仕事だということは認める。仕事というのはそういうもんだ。ただな、自分の仕事が他人の人生を台無しにするかもしれねえんだったら、覚悟がいるんだよ。バスの運転手も、ビルの設計士も、料理人もな、みんな最善の注意を払ってやってんだよ。なぜなら、他人の人生を背負っているからだ。覚悟を持てよ」(p584)

何か注目を集めるようなことが起きるとマスコミはすぐそこに群がります。そこでは、プライバシーは踏みにじられる。

ただ単に「面白そうだから」「視聴率が取れそうだから」という理由で他人の人生を台無しにしてしまうのです。

自分たちが他人の人生を台無しにしていることに無自覚な人たちが、不祥事を起こし、謝罪している人たちをまるで正義を振りかざすかのように糾弾していることに読者は気がつかされます。

『ゴールデンスランバー』感想/まとめ

700ページほどありましたが、思わず1日で読み切ってしまいました。

青柳の父親のメディアへの痛烈な批判。ちょうど日大アメフト部の問題が四六時中報道される頃に『ゴールデンスランバー』を読んだので、余計に考えさせられました。

大勢の人間が、正義の名の下に、特定の人たちを苦しめている姿を見るとやはりいい気分にはなりません。

「信頼」と「習慣」の大切さに気づかされました。

青柳が犯人に仕立てられても、犯人でないと確信してくれること。それは青柳にとってどれだけ救いになったか。

また、顔が変わっても習慣を変えることはできません。逃亡劇のラストの方では、習慣の大切さに気がつかされます。監視社会の中でも必死に絆を保とうとする親子の関係性に心打たれました。

総評

・オススメ度★★★★★

・読みやすさ★★★★★

逃亡劇というわかりやすい内容でありつつ、同時に社会の負の側面も浮き彫りにしている本書。気になった方はぜひ読んでみてください。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

ゴールデンスランバー

『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎 新潮文庫

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1984年

『1984年』ジョージ・オーウェル 早川書房

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