家族との絆を描く!伊坂幸太郎の小説『重力ピエロ』あらすじ/感想

重力ピエロ

こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

重力ピエロ

『重力ピエロ』伊坂幸太郎 新潮文庫

⇒Amazonで見る

個人的には伊坂幸太郎の作品は『ゴールデンスランバー』以来の二作目です。

この『重力ピエロ』も映画化が実施されているそうです。

それでは早速、『重力ピエロ』のあらすじや感想について紹介していきます。

『重力ピエロ』あらすじ/要約

仙台で連続放火事件が発生します。

放火事件が起きた現場にはいつも謎のグラフィティアートが描かれていました。

遺伝子を扱う企業で勤務している奥野泉水、そして弟の。春は出自についてとある苦悩を抱えながら生きていました。

事件の直前に、兄の会社が放火に遭うかもしれないと予見した春。

泉水と春の2人は連続放火事件の詳細を辿り、放火犯を捕まえようと試みます。

そしてある日、兄の泉水はグラフィティアートと遺伝子のとある関係性に気づくようになっていきます。

性への嫌悪

泉水の弟の春。彼には出自に秘密を抱えながら生きていました。

彼の実の父親は泉水と同じ父親ではなかったのです。春の父親は葛城という人物で、彼が母親をレイプした時に産まれた子どもが実は春なのです。

つまり、春は言わば「産まれてくるはずのなかった子ども」だったのです。しかし、泉水の父親と母親は産むことを決意します。

春はすでに自分が自分の家族と違った血が流れていることに対して悩み続けます。自分だけ絵が特段に上手かったりと、何か家族と「違う」という意識がずっと春の中にはあったのでしょう。

そんなレイプ犯の子どもである春は当たり前ですが、性について徹底的に嫌悪しています。自分が生まれる原因になった性を春はこの世で最も憎む人物だったのかもしれません。

父親の懐の深さ

癌を患って入院している泉水と春の父親。そんな父の寛大さや暖かさが本文からは随所に伺うことが出来ます。

父親は泉水と春が行った行為をすでに見破っていました。

しかし、それにもかかわらず、父親は2人を糾弾しようとはしません。そして父親は春に対してこんなことを言います。

「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」(p456)

本当は血の繋がっていない親子。しかし、それを知っていながらも父親は春を分け隔てなく育てました。

このセリフに父親の息子に対する愛情が詰まっているのではないでしょうか。

『重力ピエロ』感想/まとめ

伊坂幸太郎の作品はこれで2作品目ですが、非常に読みやすいです。

会話調の文体であることが多いため、ページ数が多くてもそれほど抵抗なくスラスラと読んでいくことができます。

内容的には、前回紹介した『ゴールデンスランバー』ほどの魅力はなかったように思えます。私にとって『ゴールデンスランバー』が衝撃的すぎたと言った方が正しいのかもしれません。

ラストは、正直「これでいいのか?」という感想を持ちました。

複雑な家庭状況で育った春が社会に対して、そして血の繋がっている男に対して憎悪の念を抱く気持ちはわからなくはないのですが。

「結局その解決法しかなかったの?」という感想を抱きました。血に悩まされ続けた春なりに別の解決法を模索して欲しかったという気持ちになりました。しかも人が死んでいるのに、警察も動こうとする気配がなく、あまり現実的ではないなと感じました。

本書『重力ピエロ』を読んで、「家族とは何か」思わず考えずにはいられなくなりました。家族というのは単に血が繋がっている状態を指すわけではないのかもしれません。養子でも片方しか血が繋がっていなくてもそれは家族なのでしょう。

そんなことを本書『重力ピエロ』を読んで考えました。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

重力ピエロ

『重力ピエロ』伊坂幸太郎 新潮文庫

⇒Amazonで見る

<関連記事>

「名言/伏線が多い!村上春樹初期作品『1973年のピンボール』感想」

「人生楽しんだ者勝ち?村上龍の『69 sixty nine』の感想」

「美の極致?三島由紀夫の『金閣寺』あらすじ/感想を簡単に紹介!」

「夢と現実の違いは?澁澤龍彦『高丘親王航海記』(文春文庫)あらすじ」

「犯人の真相は?伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』あらすじ/感想」