交差する2人の物語!村上春樹『海辺のカフカ』あらすじと解説

海辺のカフカ

こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介したいと思います。

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海辺のカフカ

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『海辺のカフカ』は2002年に出版された村上春樹の長編小説です。

村上春樹の『海辺のカフカ』はチェコのフランツ・カフカ賞という賞も受賞しています。

『海辺のカフカ』は世界に村上春樹という人物の名前を知らしめた契機となる本でもあります。

それでは早速、村上春樹『海辺のカフカ』のあらすじや感想について紹介していきます。

『海辺のカフカ』あらすじ/要約

『海辺のカフカ』は2つの物語で構成されています。

一つは、15歳の田村カフカを中心として動く物語。もう一つが老人であるナカタさんを中心として動く物語です。

田村カフカは15歳の少年です。中学三年生ですが、不登校の日々が続いています。

ある日、田村は父親に「母と交わり父を殺し、姉とも交わる」と予言され、その予言を避けるべく、家出を決意します。

田村は単身で四国へと足を運びます。

一方で、もう1人の主人公、ナカタさんは老人です。

ナカタさんは中野区に在住しています。知的障がいを患っており、読み書きの能力がありません。

ナカタさんには、猫と会話することのできる特殊能力が備わっています。ナカタさんは生活保護を受給しながら、時折猫探しの仕事をすることで生活費を稼いでいます。

全く関わりのないように思われる田村カフカとナカタさん。

そんな2人の前に、猫殺しのジョニー・ウォーカーが現れ、2人の物語は交差していくことになります。

ギリシャ神話の悲劇

村上春樹の『海辺のカフカ』では、ギリシア神話をモチーフにした物語が展開されています。

本書を読んでいると、ソポクレスの『オイディプス王』の内容を少し変更して、『海辺のカフカ』に取り入れていることがわかります。

『オイディプス王』はギリシア悲劇の最高傑作とも名高い一冊です。

『オイディプス王』において重要な点は、人の長所や美徳が裏目に出てしまい、悲劇が起こってしまうことにあります。

そのようにして悲劇が起こることによって、悲劇性がより高まる効果を生み出しています。

『海辺のカフカ』では、ギリシア神話についてこのように述べています。

「人が運命を選ぶのではなく、運命が人を選ぶ。それがギリシア悲劇の根本にある世界観だ。(上巻p421)」

本書の主人公である15歳の田村カフカ。

彼は家出を行いますが、自分の意思で家出をしようとはしていません。何か特別な契機によって家出を決意したようでもないのです。

「ただ、家出をしなければならない」

それはまるでモームの『月と六ペンス』に登場するチャールズ・ストリックランドのようです

そこには自分の意思はなく、ただ運命が人を動かしているのです。

メタフォリカル

本書の特徴として挙げられることとして、物語がメタフォリカルに進行していくことが挙げられます。

メタフォリカルとは「たとえの形式をはっきり示さずにたとえる方法のこと」を指します。隠喩と同じです。

本書『海辺のカフカ』では、多くの謎が作品中に残されています。

例えばですが、『海辺のカフカ』では主人公の田村カフカの母親らしき人物が登場します。

しかし、本文中にその女性が田村カフカの母親であるという証拠は出てきません。

本文を読み終わっても依然としてそのような疑問は残ったままです。

そのような疑問が数多く作品中に散りばめられています。

このような作風はかなり読む人を選ぶ気がします。話の重要な点がメタフォリカルに書かれているために、スッキリしないという方もいるかと思います。

一方で、自分自身なりの考えを作り出すことができることに喜びを覚える方もいるかもしれません。

『海辺のカフカ』感想/まとめ

まだ、村上春樹の作品は4作品ほどしか読んでいません。しかし、彼の本を読むたびに村上春樹という人物の教養の深さに驚かされます。

村上春樹の本を読んでいると、村上春樹は特に音楽や本に関する造詣が深いと感じます。それは村上春樹が以前、ジャズ喫茶を営んでいたことも影響しているのでしょう。

今回読んだ『海辺のカフカ』も、ギリシャ神話や千夜一夜物語、ベートーヴェンの『大公トリオ』など、普段の生活ではあまり関わることのないマイナーな話が登場します。

正直な意見を書くと、私は村上春樹の作品が特別に好きなわけではありません。

村上春樹の作品に性行為の描写が非常に多いことは私にあまり良い印象を抱かせません。

また、「『1Q84』のリトルピープルなど、現実では考えられないような人物や事件を中心にして物語が進んでいくことも多いです。その世界観をイマイチ楽しむことができません。

架空の話を描いた小説はいくらでも存在するはずですが、村上春樹の作品は現実味をほとんど感じられず、それが自分にとってはあまり読んでいて心地よくないのです。

小説に非現実感を求めるような人にとっては、村上春樹の作品は心地良いものなのかもしれません。個人的にはそのような非現実的な小説があまり好みではないということです。

作風は自分の好みではありません。しかしそれでも村上春樹の本を手に取ってしまうのは、彼の教養の深さに対して何か惹かれるものがあるからではないかと思いました。

個人的には、『海辺のカフカ』は村上春樹作品の中で、一番読んでいて面白かったです。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

海辺のカフカ

『海辺のカフカ(上)』村上春樹 新潮文庫

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海辺のカフカ

『海辺のカフカ(下)』村上春樹 新潮文庫

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『オイディプス王』ソポクレス 岩波文庫

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『月と六ペンス』モーム 岩波文庫

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