第114回芥川賞受賞!又吉栄喜『豚の報い』の感想/あらすじ

『豚の報い』

こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を紹介します。

『豚の報い』

『豚の報い』又吉栄喜 文春文庫

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『豚の報い』は1996年の第114回芥川賞受賞作品。1999年には、映画化も行われています。

『豚の報い』に収録されている短編は以下の2種類です。

・『豚の報い』
・『背中の夾竹桃(きょうちくとう』

それでは早速、又吉栄喜『豚の報い』の、あらすじや感想を紹介します。

以下、一部本のネタバレになる内容が含まれています。ご了承ください。

『豚の報い』のあらすじ/要約

『豚の報い』とは?

又吉栄喜の『豚の報い』は、「厄払いをしにきた女性3人と男性1人の旅物語」です。

琉球大学一年生の正吉はスナック「月の浜」の常連。月の浜ではミヨと和歌子と暢子の3人の女性が働いています。

ある日ダンプカーが転倒し、一匹の豚が月の浜に入り込みます。それに驚いた和歌子は気を失ってしまいます。

豚の闖入によって失われてしまった和歌子の魂(マブイ)を取り戻すために、3人の女性は正吉に厄払いを依頼します。正吉には厄払いの経験はありません。

しかし、正吉は3人の女性の依頼を引き受けることにしました。正吉は父親の遺骨が安置されている真謝(まじゃ)島に3人の女性を連れていき、そこで父の遺骨を回収すると同時に厄払いをしようと考えました。

正吉の父は海難でなくなりました。島のしきたりによって海で亡くなった人は12年間は埋葬できません。今年は丁度その12年目だったのです。

真謝島で4人は様々なハプニングに見舞われます。ある人は二階から転落するし、ある人は粗相をします。真謝島での生活の中で、4人は自分が普段隠していたことをそれぞれ打ち明けます。

苦悩を打ち明けた4人は、御嶽へと向かうのでした。

沖縄の人々の力強さと脆さ

この『豚の報い』でまず私が感じたのは沖縄の人々の力強さと脆さです。

3人の女性が自分たちの過去について本音を語り合う箇所があったり、豚を食べたことによる食中毒で粗相をしてしまったり。

スナック「月の浜」で働いている時では垣間見ることのできなかった3人の女性の「脆さ」を読み取ることができます。

一方で、飲み会や食事などでは旺盛な食欲をむき出しにし、料理を食べていたりと、沖縄の人々の力強さや生命力が溢れるような描写もあります。

『豚の報い』では、沖縄の人々の力強さと脆さの両面を垣間見ることができます。

豚の報い

『豚の報い』のきっかけは、スナック月の浜に入り込んだ一匹の豚です。

旅行先では、食中毒に見舞われます。正吉は食中毒の原因は、一匹の豚だと考えていました。一方で、ミヨは祟りなのではないかと恐れていました。

『豚の報い』の末尾では、豚に対して「人助けをした豚」というように述べている描写があります。つまり、食中毒になったから救われたという一見矛盾したやり取りがなされていることになります。

和歌子はこのような言葉を正吉に投げかけています。

「試験がないと、悟りにはいたらないのよね、ね、正吉さん」(p121)

このことから、豚を食べて食中毒に当たるという1つの困難を乗り越えることで、その後のお祈りの効力をより享受できると和歌子たちが考えていることがわかります。

この辺りに彼女たちと正吉のポジティブさが垣間見え、沖縄の人々の生き生きとした姿が読み取れます。

終わりに

『豚の報い』の中に登場する沖縄特有の宗教的な用語や話が、理解しにくい。背景知識を入れて読めばもっと理解も進み、面白かったように思えます。

この『豚の報い』の内容はそれほど濃い訳ではなく、一言でいえば「厄払いをしにきた女性3人が食中毒にかかる」という内容です。読んでいて内容の薄さが少し気になりました。

芥川賞の選考委員から圧倒的な支持を得た『豚の報い』ですが、個人的には魅力をあまり感じませんでした。良くも悪くも沖縄の人々の素朴な生活を描いた小説です。

総評

・オススメ度★★★☆☆

・読みやすさ★★★★☆

読み直したり背景知識を入れ直したらまた考えが変わるかもしれません。

それではまた!

<記事で触れた書籍一覧>

『豚の報い』

『豚の報い』又吉栄喜 文春文庫

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