第136回芥川賞『ひとり日和』/青山七恵|あらすじと感想を紹介

『ひとり日和』

こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきたいと思います。

『ひとり日和』

『ひとり日和』

『ひとり日和』青山七恵  河合文庫

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青山七恵さんの『ひとり日和』は2007年の第136回芥川賞を受賞しています。

『ひとり日和』には、2種類の短編が収録されています。

・『ひとり日和』

・『出発』

ここでは、芥川賞を受賞した『ひとり日和』を中心にあらすじや自分の感想などについて紹介していきたいと思います。

『ひとり日和』のあらすじ/要約

主人公の知寿は埼玉に住む20歳の女性。知寿は母親と2人暮らしで生活していました。高校卒業後、大学には行かず、就職もせず、フリーターとして生活していました。

ある日、知寿は東京で自立するために、親元を離れ、遠い親戚の吟子さん(71歳)の家に居候することになります。

ジェネレーションギャップがある知寿と吟子さんの付かず離れずな関係。

知寿は吟子さんと共に暮らししていくうちに、様々な人間と出会い、そして別れていきます。人間関係に葛藤し、恋愛も仕事のなかなか継続しない知寿とそれを気にしていないように見せかけながらも気にしている吟子さん。

『ひとり日和』はそんな知寿と吟子さんの付かず離れずな関係を描いた1冊です。

知寿と吟子さん

この『ひとり日和』の主な登場人物は、知寿と吟子さんの2人ですが、その関係がなかなか面白いです。知寿は20歳なのに対し、吟子さんは71歳とかなりのジェネレーションギャップがあります。

しかし、『ひとり日和』では、吟子さんがまるで若者のように描かれていて、一方で知寿が年寄りのように描かれています。

吟子さんは、ホースケさんというダンスで知り合ったおじいさんと恋に落ちていて、ダンスに行く際も身なりなどに気を配っています。『ひとり日和』の本文中では、吟子さんが知寿の化粧品を勝手に使って、知寿から苦情を言われる場面もあります。

吟子さんは自分の人生に満足しているように見えます。活力もあって若々しいです。

一方で、知寿は20歳ですが、若々しさを感じ取れるような描写はほとんどありません。吟子さんに対して「吟子さんは若く見えて羨ましい」というような発言をしたり、人生がつまらないといった発言をしたりと、あまり自分の人生に満足していません。これは20歳ごろの人にありそうですが、将来に対しての漠然とした不安をうかがわせるような発言もしています。

2人ともある意味で「歳相応」の行動をしておらず、その点に面白さがあります。

吟子さんの名言

個人的に、『ひとり日和』で1番印象に残っているのが、吟子さんの時折出てくる名言です。

『ひとり日和』の本文中では、吟子さんはまるで人生を達観している人物であるかのような書かれ方をしています。そんな吟子さんが時折言う言葉の中には、まるで本当に71年生きてきた人物が目の前にいるかのようなリアリティと説得力があります。

そんな吟子さんの名言の中でも、自分が好きになった名言を一つ本文から紹介します。

「型からはみ出たところが人間。はみ出たところが本当の自分」(p109)

「はみ出たところが本当の自分」。素敵な言葉だと思いませんか?共感していただける方がいてほしいなあと読んでて思いました。

『ひとり日和』おわりに/感想

感想としてはまず、「知寿全く変わってないじゃん(笑)」というのが読んだ感想ですね。最終的に知寿はフリーターを卒業し、正社員として雇われますが、一方で既婚者の男と不倫を仄(ほの)めかすようなシーンもあり、知寿の成長を読み取れません。

また、登場人物にほとんど感情移入をすることができませんでした。同居している知寿と吟子さんは親密でなければ殺伐としている訳でもないという微妙な距離感を終始保っています。2人にとってはそれは心地の良い距離感だったのかもしれませんが。

日本には、「察しと思いやり」というような言葉がありますが、知寿と吟子さんの2人、特に吟子さんが何を考えているのかわかる描写が少なかったので、吟子さんの感情を読み取ることが難しい。さらに登場人物の口数が少ないことも相まってか、登場人物に対して感情移入をすることがほとんどできませんでした。

読みやすさで言えば、『ひとり日和』はかなり読みやすい1冊でした。他の芥川賞を受賞した小説よりも断然読みやすく、内容も難しくありません。半日あれば読めてしまえるのではないでしょうか。

、表紙のデザインも春を伺わせていますが、内容には『暖かさ』を感じる箇所はあまりかったです。

個人的には、選評で絶賛されるほどの小説ではないのかなと思いました。綴られている文章は暖かく、時折吟子さんの達観したような名言なども登場し、中には個人的に好きなフレーズもありましたが、本の内容自体はあまり濃くない印象を抱きました。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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