こんにちはshun(@bookstyle_book)です!
今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『哲学の三つの伝統』野田又夫 岩波文庫
それでは早速、『哲学の三つの伝統』のあらすじや感想について早速紹介していきます。
『哲学の三つの伝統』あらすじ/要約
『哲学の三つの伝統』は、「哲学の誕生について解説している本」です。
著者の野田又夫は、哲学は様々な地域で同時期に誕生したことを紹介します。
哲学はギリシャ、中国、インドの三つの地域から同時に誕生しました。
三つの哲学の共通点、そして相違点は一体なんだったのか。
哲学者の著者がわかりやすく解説しています。
後半では、野田又夫の同年代の哲学者について紹介がされています。
野田又夫の視点から見た西田幾多郎や九鬼周造について語られています。
三大哲学
中国、インド、ギリシャの哲学は三代哲学と呼ばれています。
「哲学」という言葉を耳にした時、思い浮かべやすいのはギリシアの哲学かもしれません。
しかし、『哲学の三つの伝統』の著者野田又夫によると、三つの哲学はほぼ同時に発生しているのです。
思想家の代表としてギリシアからソクラテスを選びますと、ソクラテスが刑死しましたのは紀元前三九九年、インドから仏陀をあげますと、仏陀の亡くなりましたのは、これは普通の数え方で紀元前四八六年、中国の孔子が亡くなりましたのが、紀元前四七九年、大体、ギリシア古代哲学と、インド古代哲学と中国古代哲学とは、同じ時期に現れているわけであります。(p68)
ギリシアのソクラテスが没したのが紀元前三九九年。
インドの仏陀が没したのが紀元前四八六年。
中国の孔子が没したのが紀元前四七九年。
100年という人類の歴史から見たら狭い範囲で三大哲学は誕生しているのです。
孔子に関しては、以下の記事でも紹介しています。ぜひ読んでみてください。
日本の哲学の特徴
『哲学の三つの伝統』の著者野田又夫は、三大哲学だけでなく、日本の哲学についても言及しています。
日本の哲学の特徴は以下の二点に集約されると野田又夫は述べています。
・新しい思想と古い思想を調和させ、共存させている点。
・外国からの情報を閉ざし、国内で文化の醸成を図った点。
新しい知識に対しても柔軟に対応する。
しかし、ただ単に新しい思想を国内に取り入れるのではありません。
以前からある思想と合理的に共存させ、国内でその文化を発展させていき、独自のものとする。
これが日本の哲学の特徴だと、野田又夫は述べています。
鎌倉仏教として有名な法然や親鸞、日蓮などの宗教。
これらは、仏教という宗教をもとに、日本の文化や考え方を取り入れ、醸成されたのです。
『哲学の三つの伝統』感想/まとめ
内容は比較的平易で、大学生の自分でも理解できるような内容でした。
講演を中心にしていることもあり、哲学に詳しくない人でも理解できるように配慮されています。
今まで、「哲学はいつどこで誕生したのか」を考えたことがなく、新鮮な一冊でした。
ギリシャ、中国、インドの哲学の共通点と相違点がわかりやすく紹介されています。
西洋哲学と東洋哲学の比較ではなく、中国とインドにも哲学の特徴が異なるという主張をしていて、興味深かったです。
織田信長とマキャベリの思想が似ているという部分は、思わずなるほどと唸ってしまいました。
哲学の誕生と、日本の哲学の位置付けについて、興味があるという方は読んでおいて損はないのかなと思います。
・オススメ度★★★★☆
・読みやすさ★★★★☆
気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
それではまた〜。
<記事で触れた書籍一覧>

『哲学の三つの伝統』野田又夫 岩波文庫