洞窟の比喩をわかりやすく解説!プラトン『国家(下)』の要約


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回は前回に引き続きこちらの本をレビューしたいと思います。

プラトン『国家(下)』岩波文庫

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プラトン『国家』の上巻についてはこちらの記事で紹介しています。合わせてお読みください。

それでは早速、プラトンの『国家(下)』の内容を紹介していきたいと思います。

プラトンの理想の国家とは?

『国家』とは?

プラトンの『国家』は、「ソクラテス達の国家に関する議論をまとめた本」です。

この『国家(下)』では上巻に引き続き、プラトンが考える理想の国家について主題が置かれています。

展開は上巻と同様に、ソクラテスと他の人物(主にグラウコン)による対話形式によって理想とする国家について述べるというスタンスになっています。

内容としては、哲学者が国家を治める(君主制または優秀者支配制)ことの重要性から始まり、次にそのような哲学者を育てるための教育方法について記述しています。

そして、君主制が他の政治制度と比べてどのような点が優れているのかを記載するために、君主制以外の代表的な4つの政治制度である

・名誉支配制
・寡頭制
・民主制
・僭主独裁制

の問題点などについて述べています。

また、この『国家(下)』では、有名な「洞窟の比喩」が登場します。

この比喩は、プラトンの教育論を表すために具体例として使用されたものです。この「洞窟の比喩」については以下のレビューの中で取り上げていきたいと思います。

洞窟の比喩と理想の教育

ではここからは既にプラトンの『国家(下)』を読んでいる方向けに話を進めていきたいと思います。

先ほど少し紹介しましたが、プラトンは『国家』の中で理想の教育論を語るために洞窟の比喩と呼ばれるものを使用しています。

洞窟の比喩とは以下のようなものです。

地下の洞窟の中で、人間が手足を縛られた状態で壁側を向きながら座っている。壁側の反対側には太陽の光が差し込んでいるが、人間達は背を向けているためにその太陽の光を見ることはない。背後に人が通っている影が見え、声も聞こえるが実物は見ることができない。

そんな中、手足を解放されたとする。その人間は壁とは反対側の方を向くだろう。しかし、太陽の光が眩しく、理解することができない。やがて、目が慣れ、影として見えていたものについて理解することができたのである。

この比喩はプラトンの理想とする教育をわかりやすく説明するための具体例です。

プラトンの考えでは、教育とはただ知識を外部から入れるのではなく、向けかえの技術に他ならないのです

私たちは洞窟の比喩のように影を見ていて、そして身体の向きを変えることによって、影の実体を知ることができ、太陽である善のイデアを知ることができるとプラトンは考えていました。

どのような人間でも家庭生活などで習慣づけられた価値観はあります。

しかし、それは狭義の価値観であり、教育を利用して普遍的な価値観に目を向けさせることが重要なのではないかとプラトンは述べているのでしょう。

ここだけ見ると聞こえはいいのではないでしょうか?しかし、他の箇所ではプラトンは以下のように述べています。

最もすぐれた男たちは最もすぐれた女たちと、できるだけしばしば交わらなければならないし、最も劣った男たちと最も劣った女たちは、その逆でなければならない。また一方から生まれた子供たちは育て、他方の子供たちは育ててはならない。(『国家(上)』p367)

すぐれた人々の子供は、その役職の者たちがこれを受け取って囲い〔保育所〕へ運び、国の一隅に隔離されて住んでいる保母たちの手に委ねるだろう。他方、劣った者たちの子供や、また他方の者たちの子で欠陥児が生まれた場合には、これをしかるべき仕方で秘密のうちにかくし去ってしまうだろう。(『国家(上)』p369)

これらは上巻で述べられている内容ですが、かなり強烈な思想を展開しています。

つまり、家庭に子供は預けず、子供の能力を考慮した上で、適切な教育を国全体として施すというような教育を理想としてプラトンは掲げているのです。

しかし、今までの教育内容を考えると、家庭から離れて教育を行うといった教育方法が成功した例を私は知りません。

また、そのような思想があったのにも関わらず、現状では家庭教育があるという事実から鑑みても、プラトンの教育論は無理があったのでしょう。

『国家』は哲学初心者におすすめ?

上巻の記事でも触れていますが、この『国家』は自分のような哲学初心者におすすめしたい哲学書です。なぜこの本がおすすめなのかという理由は2つあります。

1.専門用語が少なく、初心者の方でも予備知識がない状態で読める

2.対話方式が取られている

それでは具体的に説明していきたいと思います。

①専門用語が少なく、初心者の方でも予備知識がない状態で読める

まず、哲学を少しでも勉強し始めようとする方達の障壁となるのが「専門用語」ではないでしょうか。自分もプラトンの『国家』を読むまでは、哲学といえば小難しくて抽象的な内容ばかりを扱う学問だと思っていました。

しかし、プラトンの『国家』は、哲学初心者の方でもそれほど抵抗なく読むことができます。

確かに、「イデア」や「善」などの用語は出てきますが、具体例などが挙げられているので、さほど困ることはありません。もし本の内容がわからなくても、有名な本なので、検索すれば用語の解説なども見つかります。

また、プラトンの『国家』は紀元前375年頃に作成されたものであり、これは古代ギリシアの時代に該当します。

哲学という学問は古代ギリシアから始まったと言われています。

そのため、ソクラテスやその弟子のプラトンなどの世代は哲学の歴史から言えば黎明期中の黎明期なのです。そのため、哲学の専門用語などは発達していないのです。

②対話方式が取られている

これも読みやすい理由の一つでしょう。対話方式を取ることによって論点が明確になっています。

また、対話方式を採用することによって、ソクラテスと対話しているグラウコンなどが読者の代わりとなって質問や反論をしてくれるため、不明点が残りにくくなっています。

対話の中で、以前に決定した内容などを掘り返してくれるため、以前の議論の内容を忘れてしまったという方でも、読み直さなくて良いというのも理由の1つです。

総評

・オススメ度★★★★★

・読みやすさ★★★★☆

以上で、プラトンの『国家』のレビューは終わりです。

それではまた!

<記事で触れた書籍一覧>

プラトン『国家(上)』岩波文庫

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プラトン『国家(下)』岩波文庫

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