キルケゴール『死に至る病』(岩波文庫)のあらすじ!実存哲学を読む


こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介したいと思います。

『死に至る病』

『死に至る病』キルケゴール 岩波文庫

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キルケゴールは実存哲学の先駆者として非常に有名な人物ですよね。実存哲学とは文字通りですが、「人間の実存としてのあり方」を追求する哲学のことを指します。

全ての人間に当てはまる普遍的な事柄(=本質)を追求するのではなく、現実に存在する具体的な人間(=実存)に注目していこうとする。このような哲学を実存哲学を呼ぶようです。

それでは早速、『死に至る病』のあらすじを紹介したいと思います。

『死に至る病』あらすじ/要約

「死に至る病」と聞くと、現代の日本人からすれば「がん」やあるいは「心臓病」などといった病のイメージを思い浮かべるのではないのでしょうか?

しかし、キルケゴールによれば、そのような私たちが考えるような病は死に至る病ではないのです。

それでは、キルケゴールが考える死に至る病とは一体なにか。キルケゴールは死に至る病とは「絶望」のことであると定義づけします。

絶望が死に至らしめる病であるということは、果たしてどういうことなのでしょうか?

キルケゴールは身体に影響を及ぼす病よりも、精神に影響を及ぼす病について注目しています。「解説」によれば、キルケゴール21歳の時の日記にこのようなことが書いてあるそうです。

「根本的なことは、私にとって真理であるような真理を見出すことである。そのためになら私がいつでも生きかつ死ぬことができるようなその理念を見出すことである。いわゆる客観的な心理などを発見したところで、それが私にとって何の役に立つというのだろうか」(p283~284)

近代という時代において、キルケゴールが自己の精神を深く追求し、書き上げたのがこの『死に至る病』です。

キルケゴールが考える絶望の極致とは?

キルケゴールにとって、最も不幸な状態、すなわち最も絶望しているような状態は「肉体が死んでいること」ではありません。肉体が死ぬことよりも、もっと絶望的な状態があるとキルケゴールは考えていました。その肉体の死よりも絶望的な状態とはどのような状態なのでしょうか?

キルケゴールは、絶望の極致としては「死のうとしても死ぬことすらできないという状態のこと」を指します。

なるほど、これは言い得て妙というか納得のいくのではないでしょうか?

個人的なイメージで思いつくのは、「身体に何か重大な病気を抱えてる不死の人」です。理解しずらかったらすいません(笑)。

不死なので、その人は死ぬことはありません。しかし、重大な病気を抱えているので、その苦痛に永久的に耐え続けなければなりません。

そのような人はいっそのこと死にたいと考えるでしょう。しかし、絶望の極致では、それすらも許されることはありません。

「死にたいと思っているのに、生かされてしまう」これがキルケゴールの考える絶望の極致です。

人間は誰もが絶望している?

キルケゴールの考えによると、人間は絶えず絶望しています。人間の中で絶望していない人は真のキリスト教信者だけなのだそうです。

私たち人間誰もが絶望しているとは一体どういうことなのでしょうか?

私たちは絶えず、何らかの不安を抱えて生きています。今していることがどんなに楽しく、幸せなことをしていたとしても、心のどこか片隅には必ず不安が存在するのです。

例えばですが、ある男性が友人とスポーツをしているような状況を想像してみてください。一見すると、誰もがスポーツをして汗を流し楽しんでいるように見えます。そしてそれは事実楽しいのでしょう。

しかしその男性は心のどこかでは、自分の方が友人よりも下手だと思っていたりします。自分が思い描くようなプレーができなかったりするような経験がある方もいるかと思います。

周りの人はその男性が下手だとは思ってはいないかもしれませんが、その男性の心の片隅はそのような自己に対する絶望が潜んでいます。

絶望は稀に起こるようなものではありません。私たちは常に絶望と隣り合わせの状態で生きているのです。

『死に至る病』感想/まとめ

人間が絶望を防ぐ方法ないとキルケゴールは述べています。しかし本書『死に至る病』では、絶望に陥ってしまった後、人間がそこから脱出するための方法は記載されていません。

つまり、「人間は必ず絶望するが、そこから逃れる方法もない」ということなのでしょうか?

「絶望への対策はあるのか」、「そしてあるとするならどのような方法があるのか」が記載されていれば、理解も深まったかと思います。読んでいて、「じゃあどうすればいいの?」という感想を持ちました。

また、読了するまでにかなり時間がかかりました。アリストテレスの『形而上学』ほど難解ではありませんでしたが、それでも難解な本の部類には入ることは間違い無いと思います。3回くらいも読み直しましたが、それでも完全に理解できたわけではありません。

読み慣れていないからというのもありますが、やはり哲学書は難しいですね。読むのに根気がいると改めて感じました。時間をとって、読み直していきたいと思います。

個人的にはキルケゴールという人そのものにも興味を抱きました。近代の中で客観的な事実や真理ばかりが注目されていきた中で、どうして人間の精神に関する本を作ろうと思ったのかに興味が湧きました。

「解説」にも記載がありましたが、キルケゴールという人間の生い立ちやその生涯についてももっと知りたいです。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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