私生児の青年が抱く苦悩とは?ドストエフスキー『未成年』のあらすじ

未成年

こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

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『未成年』はドストエフスキーの「五大長編」の一冊です。他の五大長編については以下の記事で紹介しています。

それでは早速、ドストエフスキー『未成年』のあらすじや感想を紹介していきます。

以下、一部本のネタバレになる内容が含まれています。ご了承ください。

『未成年』あらすじ/要約

『未成年』とは?

ドストエフスキーの『未成年』は「父親を巡る未成年の物語」です。

本書『未成年』は手記形式で進められていきます。

主人公は、アルカージーという未成年です。アルカージーの戸籍上の父親はマカールという人物で母親はソフィアです。

アルカージーには出生に秘密がありました。戸籍上の父親マカールはアルカージーの実の父親ではなかったのです。

アルカージーの実の父は、貴族のヴェルシーロフです。以前、ヴェルシーロフはソフィアと愛し合い、子供を作ってしまいまったことがあります。ヴェルシーロフはマカールに慰謝料を払い、マカールは名目上アルカージーの父親になります。

アルカージーは両親とは離れて生活していました。

アルカージーは本当の父親であるヴェルシーロフを一度しか見たことがありませんが、理想視します。しかし、実際に会った父親は自分が想像していたような理想的な人物ではありませんでした。

父親という目標を失ったアルカージーは自分の人生に悩みます。そして貴族ではなく、百姓だった戸籍上の父、マカールに対して尊敬の念を持つようになっていきます。

貴族と農民の私生児、アルカージー

主人公のアルカージーは貴族と百姓の私生児として誕生しました。私生児とは婚姻関係にない男女の間に生まれた子供のことを指します。

そのような特殊の出生から、学校では同級生から馬鹿にされ、辛い思いをしてしまいます。

アルカージーは自分が私生児として生まれたことを呪いつつ、一方で幼い頃に見た貴族の父親の姿を思い出します。そして憧れを抱きます。

アルカージーはその後中学校を卒業し、家族との再会を果たすことになります。

しかし、実際に会った父親はアルカージーが思っていたほど尊敬に値するような人物ではありませんでした。

アルカージーは父親と再会したことによって、目標とする人物を失ってしまったのでした。

19世紀のロシアが直面した社会構造の変化

アルカージーが生活していた時代。すなわち19世紀中頃のロシアでは、農奴解放令が公布されていました。

「上からの改革」によるロシアの近代化が必要不可欠と考えたアレクサンドル2世は1861年に農奴解放令を公布します。アレクサンドル2世はクリミア戦争での敗北を契機として、近代化の重要性を悟ります。

農奴解放令によって、農奴たちはすぐ自作農を始められたわけではありませんが、貴族からの支配を脱却に成功しました。

また農奴解放令によって、資本主義という概念も農村の中に急激に拡大しました。

アルカージーはそのような社会の変化についていくことができません。しかし、自分たちの父親世代も同時に変化に対応できていませんでした。

『未成年』には農奴解放令によって混乱する人々の様子が描かれています。

『未成年』感想/まとめ

本書『未成年』を読む際には、人物関係図を作りながら読むことを強くおすすめします。

『未成年』は手記という形式をとっているにもかかわらず、非常に多くの登場人物が登場します。

この登場人物の多さが、『未成年』が読みにくいと言われる原因の一つでしょう。

人物関係図を作らないと、人と人の繋がりが理解できなくなり、どうしてその人物がそのような行動をとったのか理解できなくなります。

同一人物ではないのに、同じ名前の公爵が登場することもあります。

本文中に指示語が多いのですが、登場人物が多いために誰を指しているのか理解できなくなります。これも読みにくさの原因の一つだと言えます。

『悪霊』と『未成年』はドストエフスキーの長編作品の中でも、特に読みにくいと感じる人が多いらしいため読む際には注意しましょう。

総評

・オススメ度★★★★☆

・読みやすさ★★★☆☆

気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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