シベリア流刑の体験談!ドストエフスキー『死の家の記録』あらすじ

死の家の記録

こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

死の家の記録

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本書『死の家の記録』は監獄での生活を記したものになっています。

著者であるドストエフスキーのシベリア流刑の体験が作品の元になっていると言われています。死の家というのは、収監されていた監獄を指しているようです。

それでは早速、ドストエフスキー『死の家の記録』のあらすじと感想を紹介していきます。

『死の家の記録』あらすじ/要約

本書『死の家の記録』の主人公はアレクサンドル・ペトローヴィッチ・ゴリャンチコフという人物です。

彼は妻を殺害したことによって、10年間獄中生活することを余儀なくされてしまいます。

ペトローヴィッチは貴族の生まれだったため、以前から獄内にいた囚人から疎まれます。

しかし、時間が経つにつれてペトローヴィッチは他の囚人たちと関係を深めていきます。

自分自身、シベリア流刑にあったこともある著者のドストエフスキー。

そんな彼が自らの獄中体験をもとに、獄内での生活や獄内で毎日生活する囚人たちの心理状況を分析しているのが本書『死の家の記録』です。

監獄での過酷な生活描いた本としては、フランクルの『夜と霧』も代表的です。

しかし本書『死の家の記録』は、監獄内で生活している犯罪者の心理をより浮き彫りにしていると言えるでしょう。

獄内での生活

獄内での生活というとやはり、一般の社会とはかけ離れているイメージを持つかもしれません。

しかし本書『死の家の記録』を読むと、獄内での生活環境は私たちの日常生活とあまり差異がないことがわかります。

まず、獄内の中でも貧富の差は存在するようです。

外の一般社会と隔離されてはいるものの、繋がりがないわけではありません。そのため一般社会と関わる機会は獄内でも存在します。

一般社会と関わることによってお金が手に入るようになり、それが獄内でも流通しているのです。

看守に対する賄賂なども現金を通して行われていたそうです。

また、本来であれば獄内で禁じられているはずのタバコやアルコール類も一般社会との繋がりから入ってくることもあります。

そのため、ペトローヴィッチのような貴族の出身者であり、富を持つものは他の囚人たちから疎まれがちになるようです。

無意味な労働

著者のドストエフスキーによると、どんなに凶悪な囚人でさえも簡単に音をあげさせてしまうような方法があると本書『死の家の記録』で紹介しています。

つまり、最も凶悪な犯人でもふるえあがり、それを聞いただけでぞっとするような、おそろしい刑罰を加えて、二度と立ち上がれぬようにおしつぶしてやろうと思ったら、労働を徹底的に無益で無意味なものにしさえすれば、それでよい。(p40)

意味と目的が全くない労働をすると、人は音をあげてしまうものだと著者であるドストエフスキーは述べています。

自分の労働を通して少しでも社会に貢献することができる。或いはその労働に対して賞賛の声をもらえることさえある。

そのような欲求を得るためにに私たちは労働しているのかもしれません。

無意味な労働ばかり課せられることで、囚人たちは肉体的にではなく、精神的に参ってしまうのです。

肉体的な刑罰よりも精神的な刑罰の方が万人に通用するのかもしれません。

『死の家の記録』感想/まとめ

ドストエフスキーの手記系の著書、好きです。手記の形をとっていると、登場人物が前後しにくくなるため、読みやすいです。

ロシア文学は登場人物が多すぎて苦手という方でも本書『死の家の記録』は読みやすいかと思います。

また、ドストエフスキーの心理分析力の高さも、手記という形を通している方がより伝わってきます。

本書『死の家の記録』には、入浴時の様子など獄内での生活状況がリアルに描かれています。

実際に獄内にいたことのない人が『死の家の記録』のように獄内の生活環境を詳細に書き出すことはほぼ不可能に違いありません。

ここまでリアリティーのある監獄生活を書くことができたのは、実際にシベリア流刑を自ら体験したドストエフスキーだからこそ出来る芸当です。

獄中生活の中でも、獄中での生活を客観的に眺め、囚人たちの心理状況を自分の精神状況を踏まえ分析していたと考えると驚きを隠しきれません。

獄中に登場する人物も実に個性的。ドストエフスキーのその後の作品に通じるような人物も多いです。

他のドストエフスキーの著書を読んでいるとより楽しめるかもしれません。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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