人間が持つ強烈な負の感情とは?ドストエフスキー『悪霊』あらすじ

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こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

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本書『悪霊』はドストエフスキーの代表的な作品の一つです。ドストエフスキーの「五大長編」の一冊としても認知度の高い小説です。

それでは早速、ドストエフスキー『悪霊』のあらすじと感想を紹介していきます。

以下、一部本のネタバレになる内容が含まれています。ご了承ください。

『悪霊』あらすじ/要約

『悪霊』とは?

ドストエフスキーの『悪霊』は「ロシア旧体制を破壊しようとした男たちの物語」です。

農奴解放令によって、社会の構造が急激に変化しようとしていた時代が、本書『悪霊』の舞台です。

大地主であったワルワーラ夫人には一人息子がいました。息子の名前はニコライ。ワルワーラ夫人は、旧友ドロズドワ夫人の娘であるリーザと自分自身の子どもニコライを結婚させようと画策します。

息子のニコライは、マリヤと極秘に結婚していました。結婚の仲介は友人であるピョートルが行いました。しかし、ピョートルはその後、ニコライがリーザとの結婚を望んでいると勘違いし、マリヤを殺害してします。

ピョートルという人間は、極端に利己的な人間。自分の利益になるためなら、どんなことも躊躇わない人物です。ピョートルはロシアの旧体制を壊すことを画策しており、新体制の象徴としてニコライを担ぎました。

ピョートルは「五人組」という制度を打ち出し、五人組という制度によって旧体制は壊れ、新体制が生まれると主張しました。五人組を使い、ピョートルとニコライは旧体制を崩壊させていきます。

しかし、ピョートルが新体制の象徴として掲げていたニコライは、自宅の屋根裏で自殺をしているのでした。

農奴解放令の影響

著者ドストエフスキーが生きていた時代、ロシアに歴史的な出来事が起こります。それは1861年にアレクサンドル2世が発令した「農奴解放令」です。

農奴解放令によって、農奴たちは貴族からの支配を脱却することができました。

農奴解放令によってロシアの近代化は急激に進むことになります。

ロシア内で近代化が進むことによって、従来の常識や伝統が崩壊していきます。

そのような社会状況の変化に誰もがついて追いつくことができなかった時代が、本書『悪霊』で描かれている時代なのです。

そこでは、誰も頼ることはできません。自分の親であってもそのような社会状況の変化に対応できず、混乱している時代です。

ネチャーエフ事件

本書『悪霊』にはモデルとなって事件が存在します。

それが、「ネチャーエフ事件」です。

ネチャーエフ事件とは、「5人組を組織した革命家ネチャーエフが、その中で脱退しようとした人物を密告の危険を理由に殺害した事件」のことを指します。

ネチャーエフは20年の徒刑の判決を受けています。ネチャーエフはその後、監獄の中で命を落としてしまいます。ネチャーエフはペテルブルグ大学の聴講生でした。学生生活の中でネチャーエフは革命を志すようになります。

学内では急進派として学内紛争にも参加しており、社会の変革を目指してしました。

結果としてネチャーエフの革命は失敗に終わることになります。共産主義を理想として掲げ、そのビジョンについての本も出版していますが、世間の評価は高くなかったと言われています。

「社会を変革させるためには、いかなる手段を用いるべきだ」

そのような自己中心的な考えを持っていたネチャーエフという人物。そのような人物をモデルにした人物がドストエフスキーの手によって本書『悪霊』に登場しています。

『悪霊』感想/まとめ

本書『悪霊』は読みにくい小説という定評がありますが、実際に読んでみると確かに読みづらいです。

登場人物が非常に多いというわけではないのですが、話の流れがすぐに大筋から離れてしまうので、どこを追えばいいのか分からず苦労します。一度読んであらすじは理解できたものの、内容をしっかり味わうまでには到達できていません。

しかし、本書『悪霊』にはドストエフスキー作品が持つ陰鬱さが色濃く出ています。

農奴解放令を発令された時期のロシアの人びとが持つ強烈な負の感情。怒り、嫉妬、不安、狂気。

それらの負の感情を『悪霊』から伺うことができます。人間の負の感情を文字として書き出す能力はさすがドストエフスキーといったところでしょうか。

非常に読みにくい小説ですが、ドストエフスキー思想の真髄が、本書『悪霊』の中に隠されているのかもしれません。今後、繰り返し読んでいきたいです。

総評

・オススメ度★★★★☆

・読みやすさ★★★☆☆

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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