医者から見た世界とは?チェーホフ『六号病棟・退屈な話』のあらすじ


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『六号病棟・退屈な話』チェーホフ 岩波文庫

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医者であるとともに作家でもあったチェーホフ。チェーホフの短編には自身の医者としての視点が数多く盛り込まれています。

それでは早速、チェーホフ『六号病棟・退屈な話』のあらすじと感想を紹介します。

六号病棟・退屈な話』あらすじ/要約

本書『六号病棟・退屈な話』は「全7編から構成される短編集」です。

収録されている短編は以下になっています。

・『脱走者』

・『チフス』

・『アニュータ』

・『敵』

・『黒衣の層』

・『六号病棟』

・『退屈な話』

ここでは表題にもなっている『六号病棟』について主にあらすじや感想を紹介していきます。

以下、『六号病棟』のあらすじです。

主人公のアンドレイ・エフィームイチはロシアの田舎町の精神病棟のなかで医者として働いていました。

アンドレイは最初、熱心に患者の診察や治療を行なっていました。

しかし、アンドレイは次第に病院が荒廃し、患者がとめどなく現れることに嫌気を覚えます。

医者としての仕事にやる気を失ってしまったアンドレイ。

アンドレイはその後、診察そっちのけで読書にふけるようになります。

知的な会話をしたくても周囲には会話できるような人はいませんでした。

ある日アンドレイは精神病患者を収容する六号病棟に行きます。

そしてそこでイワン・ドミートリチという人物に出会います。

双方の一致

医師としての業務に投げやりになり、趣味の読書に耽っていたアンドレイ・エフィームイチ。

彼はやがてイワン・ドミートリチという人物と出会います。

普段、知的な会話をする人が周囲には誰もいないことに不満を持っていたアンドレイ。

アンドレイは知的な会話をすることができるイワンに出会ったことに対して喜びを感じます。

しかし、一方のイワンはアンドレイと会話することを重要だと思っていません。

アンドレイにとってイワンは、唯一話せる理解者であったのかもしれません。

しかし、イワンにとってのアンドレイはそのような存在ではありませんでした。

会話をお互いが心地よくするためには、お互いがお互いを必要としなければならないのです。

正気と狂気の境界線

『六号病棟』の中でも重要なテーマとして挙げられているのが「正気と狂気」です。

六号病棟に収容されているイワン・ドミートリチ。

彼は狂気側の人間として描かれています。

しかし、本当に彼は狂気なのか?と聞かれれば迷わず答えられないでしょう。

そもそも正気とはどのような人間の状態を指し、狂気とはどのような人間の状態を指すのか。

明確なものはありません。

肉体的ではなく、精神的な「異変」。目に見えないからこそ境界線を見極めることができないのでしょう。

また、その人が正気か狂気かは、見る人の側によっても変化するはずです。

正気と狂気の境界線はどこなのか。そもそも境界線など存在するのか。

そんなことを『六号病棟』を読むとつい考えてしまいます。

六号病棟・退屈な話』感想/まとめ

物語全体が陰湿で、どんよりした空気に満ちています。

ドストエフスキー、チェーホフ、トルストイ。

どうしてロシア文学だけがこんなに陰湿な雰囲気で満ち満ちているのかわかりません。

緩急がない印象を本書『六号病棟・退屈な話』を読んでいて受けました。

どの短編においても、何か特別な出来事が起きるわけではなく、ただ陰湿な臭いがします。

緩急がないので、読んでいて少し退屈な印象を受けました。

ただ、先ほども挙げた通り、ロシア文学のイメージそのままの雰囲気が、本書全体にも流れています。

そこはロシア文学への期待通りとった感じでした。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

六号病棟・退屈な話

『六号病棟・退屈な話』チェーホフ 岩波文庫

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