人間にとって死とは?トルストイ『イワン・イリッチの死』あらすじ


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『イワン・イリッチの死』トルストイ 岩波文庫

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『イワン・イリッチの死』あらすじ/要約

本書『イワン・イリッチの死』は「人間と死の関係を突き詰めた本」です。

主人公はイワン・イリッチという人物。

彼は役人として働いていましたが、不治の病に襲われてしまいます。

不治の病にかかったイワン・イリッチは死を意識するようになります。

すぐには死ぬことができない一方で、確実に迫ってきている死。

イワン・イリッチは精神的苦痛を味わい続けます。

人間にとって果たして死とは何か。

人間と切っても切り離せない死について考えさせれる本、それが『イワン・イリッチの死』です。

晩年のトルストイ

19世紀のロシアの文豪、トルストイ。

『戦争と平和』、そして『アンナ・カレーニナ』が代表作でしょう。

『アンナ・カレーニナ』が大ヒットし、一気に世界的に有名な作家となったトルストイ。

しかし、『アンナ・カレーニナ』出版後、トルストイは精神的に病んでしまいます。

死に対する自覚が、トルストイを病ませたのでした。

人間誰にも訪れる死。トルストイは『アンナ・カレーニナ』執筆後、死を自覚するようになります。

そして人生の無意味さに打ちひしがれ、躁うつ状態になります。自殺すら考えていたと言われています。

そんな経験の後に書かれたのが本書『イワン・イリッチの死』です。

そこにはトルストイの死に対する考えが詰まっています。

死を目の前にした人間の精神的苦痛

イワン・イリッチを襲った不治の病。

不治の病はイワン・イリッチの体を肉体的ではなく、精神的に追い込むのでした。

『イワン・イリッチの死』を読むと、イワン・イリッチは精神的な苦痛を終始受けていることがわかります。

イワン・イリッチが主に苦痛に感じたこと。それは「嘘」でした。

すべての人が、自分も知っていれば病人も知っていることを認めずに、この恐ろしい状態を嘘でごまかそうとするばかりか、彼自身にまでこの偽わりの仲間入りをさせようとしているーこの事実が彼を苦しめるのだった。(p71)

病人を目の前にした人は、「絶対治る」「ただの病気だからすぐ治る」と口にします。

しかしイワン・イリッチにとって、その気休めは苦痛なものでした。

自分自身の身体は、もうじき死がやってくることを自覚している。

しかし、周囲の人は気が付いているのかいないのかわからないが、自分を励ます。

死ぬとわかっているのに大丈夫なふりをしなければならない。

そのことがイワン・イリッチを苦しめるのでした。

『イワン・イリッチの死』感想/まとめ

迫真の作品でした。

イワン・イリッチの死に対する悲痛な叫び、そして諦念。

まるで本当に実在するのかのようなリアリティが『イワン・イリッチの死』にはあります。

わずか100ページほどしかない作品でしたが、満足感の高い一冊でした。

あらすじとしては特筆すべきことはないかもしれません。

しかしいざ『イワン・イリッチの死』を読むと、面白い。

トルストイの作家としての腕があるからこその作品なのだと感じました。

そしてこの作品は、トルストイ自身が感じた死の経験がなければ完成されなかった作品のように思えます。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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