ガルシン『紅い花 他四篇 』のあらすじ/感想!ロシアの短編を読む

赤い花

こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

赤い花

『紅い花』ガルシン 岩波文庫

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ガルシンはロシアの作家で、33歳で夭折しています。幼い頃から精神疾患を抱えていて、生涯悩まされ続けていたと言われています。

そんなガルシンの『紅い花』について、あらすじや感想を早速紹介していきます。

『紅い花』あらすじ/要約

本書『紅い花』は、『紅い花』を含む全5編で構成されています。

『紅い花』

『四日間』

『信号』

『夢がたり』

『アッタレーア・プリンケプス』

今回はその中でも、本書のタイトルにもなっている『紅い花』について主にあらすじを紹介していきます。

精神病院に入院している男性。彼も精神病院の患者の1人で、時に暴れるため、狭窄衣で拘束されていました。

彼はある日、庭の花壇で労働をしている中で、赤い罌粟(けし)の花を見つけます。

正気と狂気が入り混じった彼の目には、赤い罌粟の花にこの世の全ての悪が詰まっていると感じます。

死期が近づいているその男性は、赤い罌粟の花を摘むために、医師たちの身体拘束から抜け出すことになります。

強烈な正義感と道徳心

前述しましたが、本書『紅い花』の著者であるガルシン自身も幼い頃から精神の疾患を抱えており、それに生涯苦しみ続けたと言われています。

そんなガルシンには強烈な正義感や道徳心がありました。『紅い花』でも、他の短編でもそうですが、作品の随所にガルシンの強烈な正義感と道徳心が垣間見えます。

『紅い花』では、日に日に衰弱していく自分自身を犠牲にしてまで、赤い罌粟の花を摘もうとする青年の姿が描かれています。

『紅い花』では、赤い罌粟の花についてこのような説明がされています。

彼の目にはその花は、ありとある悪のこり固まってできたものと映った。その花は罪なくして流された人類の血を一滴もあまさず吸い取り(だからこそあんなに真紅なのである)、人類のあらゆる涙、あらゆる胆汁をも吸い取ったのだ(p25)

赤い罌粟の花にこの世の全ての悪が詰まっているという独特な考え方。そしてこの世の悪に1人で立ち向かおうとする正義感。

正気と狂気の境界で苦しみ続けたガルシンの独特な感性がガルシンの魅力と言えるでしょう。

強い生命力

これもガルシンの短編を語る上で、外せない項目のように思えます。

ガルシンの短編小説からは力強い生命力を感じます。ガルシンの作品を通して、ひたむきに生きることの重要性を教えられているような気分になります。

特にそれを感じたのは『アッタレーア・プリンケプス』です。

『アッタレーア・プリンケプス』での主役は、人間ではなく、温室の中の植物です。『アッタレーア・プリンケプス』では、ブラジル生まれのアマゾンの植物がロシアの温室から脱出しようとします。

生涯の中で、苦しみ続けながらも、その中でひたむきに生きるその生命力。ガルシンの小説からはその力強さが伺えます。

それ故に、ガルシンが33歳という若さで亡くなってしまったのは残念でありません。

力強い生命力に満ち満ちた作品を生み出した彼が最終的に自殺という決断を下したことは悲劇といっても過言ではないでしょう。

『紅い花』感想/まとめ

狂気という言葉では言い表すことさえ、ためらってしまう。通常の狂気とは数段階違った狂気を目の当たりにしたような感覚に襲われます。

まるで一つ一つの文字から血が滲み出てきそうな文章。ガルシンの『紅い花』からは血の臭いを感じます。

この文章は、生涯精神疾患に苦しんだガルシンでなければ絶対に書くことはできないでしょう。ガルシンだからこそ描けるリアリティが本書『紅い花』にはあります。

薄い本ですが、読了感十分です。1つ1つの短編が心に直接訴えかけてきます。『アッタレーア・プリンケプス』もあまり紹介できませんでしたが、読んで考えさせられます。

やはりドストエフスキーやトルストイなどがロシア文学では有名ですが、長編の作品も多く、抵抗のある方もいるかもしれません。短編のロシア文学を読んでみたいという方にはガルシンの『紅い花』は特にお勧めできます。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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