初恋に苦悩する少年を描く!ツルゲーネフ『初恋』あらすじを5分で解説


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『初恋』ツルゲーネフ 岩波文庫

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19世紀のロシア人作家、ツルゲーネフ。ドストエフスキーやトルストイと同じ世紀を代表するロシア人作家ということになります。

ドストエフスキーとトルストイの作品は当ブログでも紹介しているので、確認してみてください。それぞれ代表的な作品を一つ紹介しておきます。

以下、一部本のネタバレになる内容が含まれています。ご了承ください。

『初恋』あらすじ/要約

ツルゲーネフの『初恋』とは?

本書ツルゲーネフの『初恋』は、「16歳の少年による初恋の葛藤を描いた物語」です。

誰しも一度は経験するであろう初恋。

16歳の少年ウラヂーミルは、初めて恋を知る事になります。相手はジナイーダという21歳の女性です。

ジナイーダという女性は、貴族の娘で美人。多くの男性に思わせぶりな態度を取り続けます。

ジナイーダには既に恋人がいました。そしてその恋人はなんとウラヂーミルの父親だったのです。ウラヂーミルにとって父は尊敬していた存在であったことから、ウラヂーミルの苦悩が始まりました。

当然ですが、ウラヂーミルの父親には妻子がいます。つまり、ウラヂーミルの父親はジナイーダを不倫関係になっていたという事です。

ある日ウラヂーミルの母親は、自分の夫が浮気している事に気がつき、引越しを決意します。

引き裂かれるウラヂーミルの父とジナイーダ。

しかし引越した地、モスクワでウラヂーミルは自分の父が別れたはずのジナイーダと密会している場を目撃します。二人を見たウラヂーミルは「これが恋なのか」と痛感します。

ウラヂーミルの父親とジナイーダは結ばれることなく、やがて父が死にます。

16歳の少年が初めて抱えた恋の苦悩が『初恋』には鮮明に描かれています。

親子をめぐる三角関係

ツルゲーネフの『初恋』で繰り広げられる三角関係はただの三角関係ではありません。

ウラヂーミルの父親とジナイーダは互いに愛し合っています。

しかし同時に、ウラヂーミルの父親は自分が妻子を持っていることも意識しています。そのため、妻子を捨ててジナイーダと結ばれることは望んでいません。

一方でジナイーダは、ウラヂーミルの父親と結ばれないことに不満を持っています。恋した相手は妻子を持っている人間であり、その恋は叶わない。

そしてその恋を間近で見ながら、ジナイーダに思いを寄せるウラヂーミル。

3人の関係から目を離すことができません。

恋と自己犠牲の関係性について

貴族の娘であるジナイーダ。ジナイーダは、多くの男性から好意の対象となっていました。

しかし当の本人は、自分に向かって好意を示してくる男性には目も向けません。ウラヂーミルに対してもその姿勢を貫いています。しかしウラヂーミルの父親に対しては、惹かれています。

「どうしてウラヂーミルの父親だけジナイーダの相手になり得たのか」

それは自己犠牲と関係があるように思えます。

『初恋』の中では、次のように述べられている箇所があります。

『ある種の人にとっては、自己犠牲も快いものなのだ』(p97)

ジナイーダは、それまで自己犠牲をしてこなかった人物に違いありません。ジナイーダに群がる男性は、ジナイーダに対して自己犠牲を払っていますが、ジナイーダの方は払っていません。

一方的な自己犠牲では、人は恋に落ちることがないのでしょう。

お互いに自己犠牲を払う事によって、恋をする関係が生まれるのかもしれません。

『初恋』感想/まとめ

『痴人の愛』を彷彿とさせる男たらしのジナイーダ。そしてそれに振り回される親子。

ウラヂーミルのジナイーダへの熱狂的な愛は凄まじい。初めて恋をした人の心情が鮮明に描かれています。

一方で、熱狂的な愛だけでは人は振り向かない。

ただ愛を注がれるのではなく、こちらも注がなければ恋は成立しない。

初めて恋をしたウラヂーミルは初恋を通してその事に気が付いたのかもしれません。

100ページほどしかありませんが、内容は詰まっています。思春期の若い人に読んでもらいたい一冊です。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

総評

・オススメ度★★★★☆

・読みやすさ★★★★★

<記事で触れた書籍一覧>

『初恋』ツルゲーネフ 岩波文庫

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