内容が難しい?ドストエフスキー『地下室の手記』あらすじ/感想!

地下室の手記

こんにちはshunです!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

地下室の手記

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個人的には、『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』以来、3冊目のドストエフスキー作品です。

因みにですが、ドストエフスキーの作品の中には、「5大長編」という括りがあるそうです。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』『地下室の手記』『悪霊』『未成年』の5つの小説を指すようです。

それでは早速、ドストエフスキーの『地下室の手記』についてあらすじや感想を紹介したいと思います。

『地下室の手記』あらすじ/要約

ネクラーソフは役所勤めをしていました。

ある日ネクラーソフは親戚の遺産を相続することになり、役所を辞めて地下室での生活を始めることになります。

ネクラーソフは役所勤めをしていた時から、周囲の人から疎まれていないのにも関わらず、勝手に疎まれていると感じたり、自意識過剰な人間でした。

その病的といっても過言でもない自意識が、自分自身を社会から阻害してしまったのでした。

ネクラーソフは20年間もの間、地下室にこもり続けながら、ロシアの社会に対して、そして人間が合理的な生き物であるという通説に対して批判を述べています。

理性に対する懐疑心

ドストエフスキーは本書『地下室の手記』の中で、理性に対して懐疑心を示しています。

だが理性はあくまで理性にすぎず、たんに人間の理性的判断力を満足させるにすぎない。ところが恣欲のほうは、全生命の、つまり、上は理性から下はかゆいところをかく行為までひっくるめた、人間の全生活の発現なのだ。(p44)

恣欲とはすなわち、気まぐれで独創的な欲のことを指します。

もちろん、理性にも理性なりの役割があります。しかし、恣欲は理性をも包含した欲望です。

私たち人間は恣欲を欲する生き物であり、理性だけによって動いている訳ではない。この箇所に、ドストエフスキーの理性に対して、そして人間が合理的な生き物であることに対して疑問の念を持っています。

人間が破壊と混沌を愛する理由

人間は創造と秩序を愛する生き物ではありません。ドストエフスキーに言わせれば、「人間とは、破壊と混沌を愛する生き物」なのだそうです。

ドストエフスキーは人間が破壊と混沌を愛する理由について、「人間は、自分たちの創作物が完成することを非常に恐れている」と述べています。

創作物が完成したということは自分たちの創作の限界がそこまでだということを示しています。その完成した創作物に対する評価が低い可能性も十分に考えられます。

そこで、言わば小学生のテストの際のように、「まだ本気になっていない」という姿勢を見せたいがため、我々人間は創作物を完成させることを恐れているのかもしれません。

また、ドストエフスキーは人間は結果よりも過程を重視する生き物なのかもしれないと考えています。ドストエフスキーの名言をここで紹介します。

(中略)だが、人間はどこへ行けば良い?(p53)

もし人間が結果ではなく、過程に意味を見出しているのであれば、私たちはある結果を手にするたびに露頭に迷うことになります。その場合、人間はどこに行けばいいのでしょうか。

『地下室の手記』感想/まとめ

私たち人間は地下室を心の中に持っているのではないか。そんなことを本書『地下室の手記』を読んでいて感じました。

病的なまでに自意識過剰だったネクラーソフ。しかし、それほどではないものの、私たちは自意識を持っており、その中には他人に見せたくない素性もあるはずです。

表向きは社会で他人と交流をしているように見えますが、心の内部には地下室が存在し、そこに他人が知られたくない自意識が潜んでいる。そんな気がしてならないのです。

『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』は起こる事件が明示されています。そのため、あらすじが理解しやすく、内容を難しく感じることはあまりないはずです。

しかし、今回読んだ『地下室の手記』は上記の2作品ほどあらすじがわかりやすくありません。テーマも抽象的なため、難しいと感じる人もいると思いました。

読んでから知ったのですが、この『地下室の手記』は、ドストエフスキーの作品が転換する契機になった本だそうです。

自分はまだドストエフスキーの初期の作品を読んだことがないので、作風の変化などを理解できなかったことは少し残念でした。

今後、ドストエフスキーの作品は読んでいくので、その際などに作風の変化を意識できたらと思います。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

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