酔っ払いが政治を説く!中江兆民『三酔人経綸問答』(岩波文庫)解説


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『三酔人経綸問答』中江兆民 岩波文庫

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『三酔人経綸問答』あらすじ/要約

本書『三酔人経綸問答』は「酔っ払った三人の男が日本の政治について語っている本」です。

著者の中江兆民はフランス留学経験があり、今からおよそ130年前に本書を出版しています。

南海先生という人物がいました。

南海先生は酔うと政治や哲学について語りを始めることで有名な人物です。

そんな南海先生のもとを紳士君と豪傑君の二人が訪れます。

酒を飲み始めた三人は次第に日本の政治について議論を重ねます。

異なる意見を持つ三人

本書『三酔人経綸問答』の見所。

それはもちろん、意見の異なった3人による熱い議論にあります。

紳士君(洋楽紳士)は軍事を撤廃し、完全な民主国国家を目指すという理想主義的な思想を持っています。

豪傑君は、他国を侵略することで富国強兵を図るという帝国主義的な思想を持っています。

南海先生は、紳士君と豪傑君の意見を取り入れた保守的な現実主義の思想を持っています。

持つ意見の異なった酔っ払いの3人が日本の政治はどうあるべきかについて語り尽くしています。

ごまかした南海先生

見出しにもありますが、結論としては南海先生は誤魔化すような回答をして本書は締めくくられています。

紳士君と豪傑君からすれば、南海先生の奇抜なアイデアが欲しかったに違いありません。

しかし、二人の期待に背くような形で『三酔人経綸問答』は締めくくられています。

南海先生の主張は実際に読んで欲しいと思います。

南海先生は自分自身の出したアイデアについてこのように述べています。

「ふだんの雑談のときの話題なら、奇抜さを争い、風変りをきそって、その場かぎりの笑い草とするのももちろん結構だが、いやしくも国家百年の大計を論ずるようなばあいには、奇抜を看板にし、新しさを売物のして痛快がるというようなことが、どうしてできましょうか。(p109)

『三酔人経綸問答』感想/まとめ

南海先生の結論には少しがっかりしました。

他国が道義も無視してただ侵略してきた場合。

そんな場合でも国民が全身全霊をかければ、恐るるに足らないという発言を南海先生はしています。

しかし、現実にはそうはいかないのではないでしょうか。

戦争の勝ち負けは精神的な強さによって決まるものではないと思います。

南海先生の結論も理想論にしか過ぎないような気がしました。

結論は少し残念ですが、他の部分は読んでいて楽しむことができました。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

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