こんにちはshunです!
今回は以前レビューさせていただいた本、『旧約聖書を知っていますか』の続きで、こちらの本を紹介していきます。
『新約聖書を知っていますか』阿刀田 高 新潮文庫
旧約聖書はユダヤ教とキリスト教の人々が使用していますが、新約聖書はキリスト教の人々が使用するための聖書です。ユダヤ教の人々にとって、聖書は旧約聖書のことしか指さないので、「旧約」「新約」といった言葉は使用しないようです。
『新約聖書を知っていますか』の要約/あらすじ
『新約聖書を知っていますか』では、イエスの誕生や死、そして復活とイエスを中心として描かれています。
『新約聖書を知っていますか』の著者である、阿刀田 高さんは無神論者です。そのため、新約聖書の中に明らかに合理的でない箇所に対してはしっかりと疑問や否定的な意見を投げかけています。
他の新約聖書に関する本は読んだことがないので、よくわかりませんが、無神論者のかたが書く本の方が自分のような初心者の方には良いのではないかと思います。内容に合理性がないことに関しては正直に提示してくれる人の方が理解しやすいです。
勿論、『旧約聖書を知っていますか』を読めばさらに理解がしやすいようにはなっていますが、読まなくても『新約聖書を知っていますか』を理解することはできます。
イエス・キリスト誕生の謎
イエス・キリストの誕生は謎に包まれています。
まず、家系でいうと、イエス・キリストの父はヨセフで、母はマリアという人物です。因みに、父のヨセフですが、このヨセフは旧約聖書に登場するヤコブの子とは名前が同じですが、人物は違います。
この辺、聖書はわかりにくいですよね。同じ名前の人が4人いたりするので、同一人物だと思い込んでしまいます。
マリアがヨセフと許嫁であったある日、天使ガブリエルは、「あなたは精霊によって子どもを身籠った。その子ども名前をイエスと名付けなさい。」とマリアに対して言います。処女であったマリアはそのお告げを聞いて驚きます。
半信半疑であったマリアですが、その後本当に子どもを生みます。それが神の子、イエス・キリストです。
「精霊によって身籠った」「処女のマリアが妊娠した」という現代に生きている私達からすると合理的には理解できない部分ですよね。
精霊によって身籠ったということは、ヨセフはイエスキリストとは血が繋がっていないのか?また本当にマリアは処女だったのか?など疑問点がいくつかあり、それはいまだに謎に包まれています。
イエス誕生の物語は、新約聖書にある4つの福音書の中のうち、「マタイによる福音書」「ルカによる福音書」の2種類に収録されています。
イエス・キリストの死

ルーベンス『キリストの磔刑』
イエス・キリストの弟子であるユダは銀貨30枚、およそ一ヶ月分のお金を手に入れる代わりに、師であるイエス・キリストを裏切ります。
逮捕されたイエス・キリストの罪状は次のようなものだったそうです。
・民衆を煽り、暴動を画策した
・納税を拒否した
・王と自称した
ほとんどデマだったそうですが、イエス・キリストは死刑を宣告され、磔(はりつけ)にされてしまいます。
『新約聖書を知っていますか』によると、磔に処されている時、イエス・キリストは「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と言ったそうです。日本語では、「わが神、わが神、どうして私をお見捨てになるのですか」という意味になるそうです。
その後ユダは自分が銀貨30枚を得るために失った代償の大きさに気づき、首をつって自殺してしまいます。
『新約聖書を知っていますか』終わりに/感想

レオナルド・ダ・ヴィンチ 『最後の晩餐』
『新約聖書を知っていますか』を読むまで知らなかったイエスの誕生の謎やその歴史を理解することができたので、読めてよかったと思いました。
『新約聖書を知っていますか』を読むまでは、かの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』に出てくる人物もほとんど理解していませんでしたし、13という数が西洋にとって忌み数であることなど、知らないことが多く非常にためになりました。
個人的には、『旧約聖書を知っていますか』の方がどちらかといえば初めての知識が多く、読んでいて新鮮でした。
どちらの本も信仰を持たない阿刀田 高さんだからこその客観的な視点で記載されていて、初心者の自分でもどこが現在でも正確にわかっていなくて、どこに魅力があるのかが理解できました。
また、この本を読んで「合理的なことばかり考えないことの重要さ」に気がつくことができました。
特別な信仰を持たない人にとっては、聖書の合理性のない面ばかりに注目してしまうかもしれません。海が真っ二つに割れたというエピソードや、処女のマリアが精霊によって子どもを身籠ったエピソードなど、まだ現時点で解明されていない箇所もあります。
『新約聖書を知っていますか』の中で、著者の阿刀田 高さんは次のように述べています。
大切なのは、原因がなんであれ人々に奇蹟を信じさせるような偉大なイエスが実在していたことのほうである。事実に近い奇蹟もあったろうが、まるっきりの作り話もあっただろう。だが、いずれにせよ、奇蹟のエピソードは一つの比喩であり、イエスの偉大さを大衆に伝えるためには、こうした伝達方法が適していた、ということだろう。事実の報告だけが伝達の手段ではあるまい。(p85)
この部分を読んで、確かに合理的かそうではないかだけで判断しても面白くはないなと思いました。2018年の今でも聖書の内容を信仰している人がいて、この内容が語り続けられているというところに価値があるのではないかと思います。
今まで、聖書に関して難しいイメージを持ち続けていて、読む機会がなかったという人にとってはこの『旧約聖書を知っていますか』と『新約聖書を知っていますか』は入門の本として非常に有用なのではないかと思います。興味のある方はブレグマン日読んでみてはいかがでしょうか。
それではまた〜。
<記事で触れた書籍一覧>
『新約聖書を知っていますか』阿刀田 高 新潮文庫
『旧約聖書を知っていますか』阿刀田 高 新潮文庫
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