生涯を閉ざされた学生たち!『きけ わだつみのこえ』あらすじ・感想


こんにちはshun(@bookstyle_book)です!

今回はこちらの本を読了したので、紹介していきます。

『きけ わだつみのこえ』岩波文庫

⇒Amazonで見る

『きけ わだつみのこえ』あらすじ/要約

本書『きけ わだつみのこえ』は、「戦争で命を落とした学生たちによる手記」です。

1943年から始まった学徒出陣。

兵力が不足した日本は、在学中の学生たちを戦場に送り込みました。

ある学生は両親のことを戦場で思い、ある人は恋人を思う。

若い内に死を余儀なくされた学生たちの悲痛な叫びと怒り。

そんな学生たちの声が『きけ わだつみのこえ』には書かれています。

戦争とはいかなるものか

ジャン・ジョレースという人物はこのようなことを述べています。

私は合法性への迷信を持つものではないが、暴力は人間としての弱さであると思う。(p11)

本書『きけ わだつみのこえ』では戦争を一種の暴力運動であり、人間の弱さであると記載しています。

私たち人間は他の動物と違い、際立った知性を持つ生き物です。

私たちは言葉という道具を持ち、お互いにコミュニケーションを図ることが出来ます。

戦争は人を獣同然にしてしまいます。

そこでは殺されそうになったから殺すという理屈があるだけです。

そこには人間が持つ知性は微塵も感じることができません。

戦争とは私たち人間を獣同然にするものなのです。

勝つ見込みがない戦い

『きけ わだつみのこえ』に登場する学生は多くがエリートです。

学生の中には、日本がアメリカとの戦争に勝つ見込みがないことを知っている学生もいました。

率直にいうならば、政府よ、日本の現在行なっている戦は勝算あってやっているのであろうか。いつも空漠たる勝利を夢みて戦っているのではないか、国民に向かって日本は必ず勝つと断言できるか。いつもこの断言のためには非常な無理に近い条件がついているのではないか。(p212)

勝つ見込みがない戦いをすることほど精神的に辛いものはないでしょう。

戦争をするからには何かしらの目的があります。

勝つ見込みがないのであれば、戦う理由はもはやどこにもありません。

しかし命だけは落としていく。

それではもう、犬死と変わらないのではないでしょうか。

『きけ わだつみのこえ』にはそのような嘆きを持った学生の手記が収録されています。

『きけ わだつみのこえ』感想/まとめ

『きけ わだつみのこえ』に登場する学徒兵はエリートであることに驚きました。

旧帝国大学の学生が多く本書『きけ わだつみのこえ』には登場します。

当時、エリート層であった彼らでさえも、戦場に向かい、そして散っていく。

ましてエリート層ではなかった人々が一体どれだけ命を落としたかは計り知れません。

また、全体的に文章がカラッとしていることにある種の怖さを覚えました。

特攻で命を落とすことがわかっているにもかかわらず、文章からそれほど悲痛の色が見えません。

戦争に対する批判が如実に書かれているわけではありません。

しかし、文章からは戦争に対する恐怖や生きることの諦めが伺えます。

日本人として一度は読むべき本なのではないかと思いました。

気になった方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた〜。

<記事で触れた書籍一覧>

『きけ わだつみのこえ』岩波文庫

⇒Amazonで見る

<関連記事>

「陸奥宗光が書いた外交録!『蹇蹇録』(岩波文庫)のあらすじ・感想」

「国の未来を考え抜いた男!『新訂 海舟座談』(岩波文庫)あらすじ」

「福沢諭吉とは何者?『福翁自伝』のあらすじを簡単にまとめました」