サイモン・シン『宇宙創成(下)』レビュー!ビッグバンは実在した?


こんにちはshunです!

今回は前回紹介した続きで、この本のレビューをしたいと思います!

サイモン・シン 『宇宙創成<下>』 新潮文庫 2009年

〜宇宙モデルは2種類考えられていた?〜

宇宙創成の下巻では主にビッグバンについて取り扱っています。しかし、ビッグバンによる宇宙創成は20世紀以降になってから注目されるようになった説で、それまでは宇宙は永遠不変であるという考えが大多数を占めていました。

・ビッグバンによる動的な宇宙(ビッグバンモデル)

・永遠で静的な宇宙(定常宇宙モデル)

1950年はこの2派に別れて論争が繰り広げられていました。

定常宇宙モデルとは何かについてご紹介します。定常宇宙モデルとは古い銀河と銀河の間に新しい銀河が現れるという様なモデルのことを定義します。

宇宙の大きさが仮に無限大であるとするならば、古い銀河と銀河の間に新しい銀河が生まれ、成長し、宇宙全体が見かけ上2倍の大きさになっていても大きさは無限であることに変わりはありません。無限大を2倍しても無限大だからです。そのため定常宇宙モデルでは、宇宙は膨張しているけれども変化しないことを示しているのです。

ビッグバンモデルを支持する科学者たちはビッグバンモデルの不明点を一つ一つ解消する必要がありました。例えば、

・宇宙が天体よりも早く生まれているように見える原因は何か

・宇宙の大部分を占めている軽い元素(水素やヘリウム)からどのようにして重い元素が生まれたのか

です。

しかし、バーデとサンディッジが宇宙が星などの天体よりも古い存在であることを証明し、ホイルが元素の合成の理論を打ち出したことで元素の存在比は解決されました。また、1960年にはペンジアスとウィルソンによってCMB放射と呼ばれる高温高密度の宇宙の痕跡が発見されました。

これらによって、多くの科学者たちは定常宇宙モデルではなく、ビッグバンモデルを支持するようになりました。偉大な科学者たちが、どうやってこれらの問題を解決したのかは本書で確かめてみてください。

〜生命が生まれる可能性は奇跡?〜

私たちは今、特に意識することなく人間という生き物として生活しています。私たちの周りには人間以外の多くの生物が溢れています。

よく「地球外生命体は存在するのか」といった話題が出ることがあります。現在の技術を駆使しても、地球外に確固とした生命体を確認することはできていません。宇宙に生命が誕生したことは奇跡と言っても過言ではありません。

イギリスの天文学者であったリースは『宇宙を支配する6つの数』という著書の中でεという数を作りました。これは陽子と中性子を原子核に繋ぎ止めている核力のことを定義します。

私たちの宇宙ではε=0.007という数値であるが、これが0.006でも0.008であったとしても地球に生命体が生まれる可能性はなかったと筆者であるサイモンシンは主張しています。εは宇宙を支配する数のうちの1つであり、そのほかの5つの数がもし現在と異なっていたら、宇宙には生命は誕生していなかったとリースは考えていたのです。

私たちがこうして地球上で生きているのはほとんど奇跡と言っても良い確率によるものなのです。

〜宇宙を学ぶ面白さ〜

私が、宇宙について学ぶことを面白いと思う理由は宇宙が、偉大な科学者たちの叡智の積み重ねでできているからです。ニュートンもアインシュタインも宇宙の仕組みの全てを解決できた訳ではありません。

前の世代の人々が生み出した知識や観測データを使ってそれを試行錯誤させながら新たな仮説を提唱していく。そうすることで私たち人間は宇宙のの謎を1つ1つ解消してきたのです。

また、私たちがこれほどの時間をかけてまで宇宙創成の謎に取り組んでいるにも関わらず、未だに全貌を明かさない宇宙に対しても畏敬の念を覚えます。これからもっと科学は発展していくでしょうし、その宇宙の謎が解消されていく様子を知ることができることを嬉しく思います。

〜サイモン・シンの凄さ〜

ここで少しだけですが、サイモン・シン氏の凄さについて紹介したいと思います。

まず、これはサイモン・シンの著作を読んだことのある人なら誰でも共感してくれることですが、内容が難しいのにも関わらず、誰でも簡単に理解ができるように説明を加えてあるところです。

宇宙創成にも、本文中における専門用語の解説には図解を設けてあります。また、章の最後にはその章の内容を数ページで簡潔にまとめられています。末尾の方には専門用語の一覧があいうえお順で並べてあり、用語の意味を忘れてしまった場合にもすぐ見返すことができるようになっています。

『フェルマーの最終定理』でもそうでしたが、「自分のように文系で、宇宙に関する本はほとんど読んだことがない」人でも内容を理解できるようにまとめられていることは凄いと言わざるを得ません。

こんな感じで『宇宙創成』の上下に渡るレビューは終了です!

『宇宙創成』は自分のように「ビッグバンって言葉しか知らない」というような方にぜひ宇宙に関する本を読む前の導入として読んで欲しいと思います。天動説からビッグバンまで幅広く宇宙に関するテーマを扱っていますから、宇宙論に関する全体像を時系列に把握しながら読んでいくことができます。

それではまた〜

↓shunが今までに読んだサイモン・シンの著作はこちら↓

サイモン・シン 『宇宙創成<下>』 新潮文庫 2009年

サイモン・シン 『フェルマーの最終定理』 新潮文庫 2006年

↓『宇宙創成<上>』のレビュー記事はこちら↓

「文系でも理解できる?「宇宙創成<上>/サイモン・シン」の書評」

 


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